海版のボーイング(B929)とは?

通常ボーイングと聞くと、航空機を連想するのが当たり前です。しかし、同社は船舶の製造も手掛けています。それは、B929という船です。

日本国内でも、ボーイング製の船舶が運航されています。東京ではお台場付近で見ることができます。

コンテンツ

B929の生い立ちや運航路線

生い立ち

旅客用のB929は1974年に開発され、日本への導入は1977年とのこと。当初はボーイング社が製造していたものの、ライセンスが川崎重工へ提供され、1989年には国産B929も就航します。

同機の特徴(同船といった方が正確でしょうか。)は、45ノット(時速約83km)の高速性能です。ジェットフォイル船とも呼ばれ、船体を海面から浮かせて航行する、翼走状態でこの高速性能を発揮します。

ウォータージェット推進機という装置で、海水を噴射することで、船体を浮かせることができ、この結果抵抗が小さくなるために、高速走行が可能とのことです。もちろん、通常の船と同じように、船体が海面に触れた状態でも航行できます。

川崎重工(KHI)の「ジェットフォイルは、なぜ、“海を飛ぶ”のか?」をご紹介致します。川崎重工は船舶・鉄道車両・航空機・モーターサイクル・ガスタービン・ガスエンジン・産業プラント・油圧機器・ロボットなどの多彩な事業を展開する総合エンジニアリングメーカーです。

製造元である、川崎重工のサイトで、詳しい解説が見られます。

日本での運航路線

東京の竹芝ー伊豆諸島(伊豆大島等)

鹿児島ー屋久島

といった路線があります。その他にも、博多ー釜山便でも運航されているそうです。

お台場周辺で見ることができるのは、竹芝ー伊豆諸島の便ですね。

B929の航行シーン

左のプレジャーボートと比較するとよくわかりますが、船体が海面に接触していませんね。これが、翼走状態です。

高速性能の秘訣である、ジェット噴流が出ています。

東京国際クルーズターミナル脇を通過するB929。

B929のように、「浮いている船」はちょっと異様で目立ちますね。

B929が抱える問題

現在新規に製造しようとすると、製造当初(1980年代)と比較して大幅にコストが高くなるという問題があります。構造が特殊なこともあり、ある程度注文がまとまらないと製造できないというデメリットもあります。

ボーイング社の旅客機も、世界中に顧客となるエアラインがいるからこそ、製造ラインがあっって大量生産ができるわけですが、そうしたスケールメリットを享受できないB929の場合は問題が多いのですね。

機械ですので、故障に伴う修理や新造はいずれ必須となります。各フェリー会社がまとまって発注するという手段しかないようですが、各社所有機は製造時期もまちまちですし、各社の懐事情も異なるでしょう。じゃあ各社がまとまって、今新造しようかという呼びかけに応えられる会社、そうでない会社があるのが難しいところだと思われます。

B929を短区間で堪能できる路線

B929のオペレーターである、東海汽船。同社が運航する路線には、熱海発伊東経由の伊豆大島行きの路線があります。

熱海から伊東の区間であれば、わずか1,290円で乗船できます。大島に行くにはちょっと、という方もこの区間であればお手頃に海版ボーイングの体験が可能です。

東海汽船の大型客船、ジェット船の時刻表のほか、下田発着航路の神新汽船の時刻表もご案内しています。

※現在は、伊東経由便は運休中とのことです。

まとめ

私も通勤途中に見かけることがある、B929。周囲を航行する船舶と比較して、ものすごく速度が速く異彩を放つB929。一航空ファンとしても、海のボーイングに以前からすごく興味を抱いていました。

未だに搭乗できていないのが、少し残念です。コロナウイルス感染拡大も、日本国内ではかなり下火となっています。7月になって運航開始が確認できれば、日帰り旅行で熱海を訪れ、熱海ー伊東間でのB929搭乗を体験してみたいと考えています。

※追記

25年ぶりに、東海汽船向けにB929が建造されるとのことです。製造方法も、飛行機に近い部分があるようで、まさにボーイングの一員にふさわしい船と言えますね。