成田空港の国際線貨物便数増加とプライベート・チャーター機のスポット状況

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成田空港で国際線貨物便数増加

NAA(成田国際空港株式会社)によると、2020年7月度の国際線貨物便数は3,251便で、昨年(2019年)7月度の2,102便と比較し、155%に増加したとのこと。

貨物便はコロナ渦においても、国際的な物流を支える要ですが、成田では今年は特に、ベリー輸送(貨物機ではなく、旅客機の貨物室に貨物を満載したフライト)が盛んに行われている実情が数値に現れているのでしょう。

ベリー輸送については、過去記事でも取り上げています。

当ブログの記事でも先日、旅客機による貨物輸送についてお伝えしました。搭乗するPAXが激減しているため、貨物室のみではなく、キャビンにも貨物(...

しかし国際航空貨物量(t)は、昨年7月の173,655tと比較し、2020年7月は153,681tと減少しています。

やはり、貨物専用機ではない旅客機を貨物便として運航しているため、搭載量はどうしても少なくなってしまうという事実が反映されているものと考えられます。

搭載量は貨物機にはかなわないとは言え、エアラインにとっては貴重な収入源だそうです。ZG(ZIP AIR)、LO(ポーランド航空)等がNRT発着でベリー輸送を行っています。NRTには珍しいエアラインとして、AV(コロンビアのアビアンカ航空)も5月頃、盛んに飛来していました。

昨今、コロナウイルス感染拡大による旅客輸送の急減で、旅客機による貨物輸送が急増しています。旅客機を貨物輸送に転用しても、輸送できる量は少ない...

NRTプライベート・チャーター機のスポット状況

続いて、プライベート・チャーター機のスポットの空き状況に注目してみます。NRTには、オンラインでプライベート・チャーター機スポットの状況が見られるシステムがあります。

B747、A0320、GLF6といった機種ごと、時間帯ごとに、スポットの空き状況をチェックできます。ちなみに、Refueling spotという表示は、給油専用のスポットです。

しかし、どのスポットもガラガラの状態です。NRTでは、コロナ前は中国籍の機体を中心に多数のプライベート・チャーター機が飛来していましたが、今は見る影もありません。

中国からの入国制限が未だに解除されていないこともありますが(ビジネス関係者の入国開始について、協議は開始しているそうです。)、ここまでガラ空きの状況を、私もハンドリングを担当していた際、見たことがありません。

中国等から、ビジネス関係者の入国が許可されれば、プライベート・チャーター機の利用は、感染防止の観点から最適だと考えられます。少しでも早く入国が解禁され、多くの機体が飛来すれば、着陸料や駐機料も増加し、空港の収益増加にも寄与するでしょう。

まとめ

以前として航空業界には厳しい状況が続いていますが、観光客の受け入れ前に、ビジネス関係者の入国を認める方向で諸外国との調整が行われる動きがあります。これによって、プライベート・チャーター機利用に対する需要が、定期旅客便需要より早く増加する可能性も、十分にあるのではと考えています。