グランドスタッフが恐れるDLY

グランドスタッフとして、最も嫌なのはDLY(ディレイ、遅れ)です。

航空機は様々な理由でDLYします。

DLYの理由

代表的なものは、

・使用機材の到着遅れ

・メンテ(メンテナンス)

・気象条件(台風)

・PAXやCREWの急病

等が挙げられます。

使用機材の到着遅れ

皆さんも空港で「XX便は到着機材遅れのため、出発時刻が遅れる見込みでございます。新しい出発時刻はXX時XX分頃を見込んでおります。」などというアナウンスを耳にされたこともあるかと思います。

何らかの理由で、出発が遅れることで、到着も遅れるパターンです。

混雑している空港では、ATC(Air Traffic Control)も理由となることがしばしばです。

他の出発機や到着機が集中している時間帯だと、飛行機にも空港に離着陸するための順番待ちが発生してしまいます。私の担当便もATCによる(PAXにはATCが理由とは言わず。単に使用機材到着遅れとアナウンスしていました。)遅れにしばしば遭遇しました。

PAXにとっては、到着遅れはわかるけど、具体的にどんな理由で遅れたのかわからないと、なんだかもやもやしますね。

メンテ(メンテナンス)

機体は問題なく到着し、出発準備を進めているものの、機体に不具合が発生します。

私が経験したのは、以下のようなケースです。

私が出発担当としてゲートにいると、ロードマスターさん(荷物、貨物搭載の責任者)から無線で一報が入りました。

「カーゴドア(貨物室のドア)が閉まりません、半開きの状態です。」

ゲートにいた私たちに、緊張が走ります。ロードマスターさんは、なんとかカーゴドアを閉めようと試行錯誤してくれました。しかし、なかなか閉まりません。。。

メンテさんを呼ぼうにも、私の担当キャリアはメンテも他社さんに委託しており、メンテさんを呼んでも、来るまでに最低1時間は必要でした。

私たちは、PAXに対し、「機内の出発準備遅れのため、当便の出発は遅れる見込みです。」と冷や汗ものでアナウンスを続けました。

そうこうしているうちに、ロードマスターさんから再度一報が入ります。

「カーゴドア、閉まりました!」

ランプスタッフさんが何とか閉めようと努力してくれたおかげで、閉まりました。

手で押し込んだら閉まったとのことです。。。キャプテンにも確認してもらい、出発許可が出たので、15分程度の遅れで何とか出発できました。

当該の機体は何かと不具合が多く、スタッフの間では嫌われていました。

気象条件(台風)

台風の季節は本当に嫌なものです。

現地の出発が台風で送れていたり、こちらからの出発が遅れる場合もおります。

私の担当キャリアも、本国がよく台風に見舞われる国で、現地の台風による遅延が時々ありました。飛行機が現地をまだ飛んでいないため、チェックインを開始できないという際、カウンター前に並んでいるPAXの視線が怖かったです。

現在は鉄道の世界でも、台風の接近が予想されるときは計画運休をしたり、安全を最優先にする動きが世間ではスタンダードになりつつありますね。

気象条件が理由の遅れ、欠航はあきらめるしかありません。

PAXやCREWの急病

到着便の機内に、具合が悪くて動けないPAXがいたため、救急車を手配して救護したことがあります。

制限エリアに救急車を入れるためには、少し煩雑な手続きが必要となるため、どうしても時間がかかってしまいます。

以前の記事でお伝えしたように、到着便と出発便のPAXが混在するのは保安上の問題で、絶対にNGです。そのため、到着便で急病人がいた場合、そのPAXが到着機機内から退去するまで、出発のPAXは搭乗できません。

CREWの急病につきましては、後日別記事でお伝えします。この出来事はグランドスタッフとして勤務していた時代で、一番記憶に残る事件でした。

まとめ

グランドスタッフとしてこれから勤務される方は、様々なDLYに遭遇すると思います。

現場では本当に大変でしたが、今では思い出の一つです。

担当チームで協力すれば必ず乗り切れます。