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DBCとは?
DBC(Denied Boarding Compensation )とは、オーバーブッキングになっているとき、次便や別便にPAXを振替、金銭等で補償をすることです。
グランドスタッフとしてカウンターで出発業務をしていると、わかりやすいのですが、どのフライトでも、NO SHOWのPAX(航空券を購入しているのに、搭乗しないPAX)は必ず発生します。NO SHOWが発生してしまうと、空席ができてしまい、航空会社にとっては効率が悪いです。
空席を極限まで減らすため、NO SHOWを見込んで、本来の座席数より多くブッキングを受けているのです。
DB交渉をする場面
さて、前述のようにNO SHOWを見越して予約を多く受けていても、SHOW UP率がすごく高くなる時があります。
来ないことを見越していたのに、実際はPAXが多く空港に来すぎてしまうという意味です。このような場合、次便や別便に変更しても良いというPAX(ボランティア)を、一定数募集します。当然、変更に協力してくれたPAXには、金銭等をお支払いし、補償をします。
しかし、振替に応じてもらうというのは、簡単ではありません。ビジネス客であれば、変更に応じてくれる可能性はとても低いです。従って、DB交渉を成功させるには、ターゲットを絞るのがコツと言えます。
私が担当していた東アジア某国のLCCは、1便目は深夜0100頃出発、2便目は早朝0630頃の出発となっていました。
1便目に搭乗すれば、現地には早朝の到着。眠気に耐えられれば、1日をフルに使える非常に理想的なフライトスケジュールと言えます。
1便目がこのままでは座席が足りなくなると予想された場合、早めの段階で、ボランティアのPAXを募ります。学生風のPAXや、旅行者のPAXを中心に、狙いを定めます。現地国籍のPAXも狙い目です。一番のポイントは、旅程に余裕があるかという点です。
TCP2、3(2人連れ、3人連れ)といったグループのPAXを狙ってDB交渉をもちかけると効率が良いのですが、その中の1人でも反対すれば、交渉は流れてしまうというリスクもあります。
DB交渉のコツ
当然ですが、振替に応じれば目的地に到着するのが、予定よりも遅れます。遅れて到着するというデメリットを補うベネフィットがあると認識してもらうのがコツです。
私がメインで担当していた前述のLCCでは、振替に応じてくれたPAXに、数万円を支払っていました。1便目のチェックイン時に、もし満席となった場合、早朝の2便目に振替しても良いとの答えを得たら、1便目のカウンタークローズの直前に、再度カウンターにSHOW UPしてもらいます。
そこで、空席が残っていれば予定通り搭乗して頂き、そうでなければ、2便目に振替して頂くことになるのです。数万円がもらえるか否かの運試しは、見ているこちらもハラハラします。
しかし、実際に振替となったことはそう多くはありません。PAXは予定通りに搭乗でき、航空会社も余計な出費をせずに済むので、良い結末と言うことはできるでしょうが、期待していたPAXはちょっと残念ですね。
まとめ
私なら、数万円をもらって次便に振替を選択してしまうと思っていました。実際、同僚もほとんどが振替を選ぶと言っていたぐらい、魅力的な選択肢だと思います。
DB交渉を苦手とするグランドスタッフも多いのですが、私はこうした交渉事が好きで、楽しんで行っていました。相手にベネフィットを提供し、こちらの要求を呑んでもらうという交渉スキルが身に付きます。