前回の記事では、LL業務について、主に未着対応のお話でした。
今回は、到着担当としてLL業務に従事している際、その到着便から別の乗り継ぎ便にチェックインバゲージを搭載できなかった場合、それらのバゲージをどうするかについて、またチェックインバゲージに破損が生じた場合(ダメージ)にいてお話しします。
チェックインバゲージを乗り継ぎ便に搭載できなかったら
以下のようなことが起こった場合です。
自分がHNDに勤務していて、MNLからの便のLL担当だったとします。
その日は、MNL出発が、航空管制の影響(出発、到着機が集中し、出発の順番待ちで時間がかかってしまいました。)とします。HNDには、40分程遅れて到着しました。
予めHND発SFO行きの他社便に乗り継ぎを予定していたPAXが複数名いました。しかし、その他社便はすでにバゲージ搭載を終了しており、これから乗せることができません。
搭載できなかったチェックインバゲージはどうする?
さて、乗り継ぎを予定していたPAXのバゲージは、HNDに取り残されてしまいました。
これらのバゲージは、税関検査を受けていないものです。こういったバゲージは、「ボンド」と呼ばれる、保税蔵置場に入れる必要があります。
Wikipedia 保税地域
このように、空港には税関の輸入許可を得ていない荷物や貨物を保管しておく場所があります。エアラインにも手荷物専用の保税蔵置場があり、ここにバゲージを一時保管します。
ボンドイン、ボンドアウト
手荷物をボンドに入れる作業を「ボンドイン」、出す作業を「ボンドアウト」と言います。
それぞれ、エアラインと税関の許可が必要になります。
ボンドインしたバゲージは、次の乗り継ぎ便に搭載する前に、再びボンドアウトします。
次の乗り継ぎ便への搭載
次の乗り継ぎ便は、翌日以降になってしまうことも多いですが、搭載前に注意が必要です。
バゲージタグには、乗ることができなかった便名と日付が印刷されています。
これを、変更後の便の情報に書き換える必要があります。これを「リタグ」と言います。
シールをタグに重ねて貼って、そこに手書きで日付や便名を書き入れます。個数が多いと、面倒な作業です。
無事にそれらの作業が終わったら、ソーティング場に行き、当該便担当のソーティングさん(ランプさん)に渡して終了です。
ダメージ(DPR)
最後に、ダメージについてです。DPRという用語で表しまします。
PAXがターンテーブルでチェックインバゲージを受け取った際、スーツケースの車輪が取れていることに気づき、申告してきました。
こういった場合バゲージタグをまずはお預かりします。その後は、各エアラインによって対応が異なります。私が主にメインで担当していたキャリアでは、手荷物破損への補償はなく、破損したという証明をお出しし、各PAXが加入している旅行保険で修理してもらうという対応です。
もちろん、会社によっては、スーツケースの修理をしてくれるところもあります。代替品をPAXに渡すこともあります。
こういったケースもありますので、LCCに乗る際には、旅行保険をかけておいた方がベターだと思います。
まとめ
LL業務は、上記のような非常に地味な業務となります。グランドスタッフと聞いて想像するのが、チェックインカウンターやゲートでの華やかなイメージが強いかと思います。
しかし、このような事故処理という言葉がふさわしいような、地味で暗い業務もあることを是非知って頂きたいです。
到着LL業務担当を、無線では「到着旅客」または「到着BC」と呼んだりします。
※BCはBaggage claimの略です。
到着ホールは、出発ロビーと違って、免税店もない場合が多いです(羽田など、到着ロビーに免税店がある場合もあります。)し、暗い印象ですね。私はLL担当でBCに行くとき、「BCでモグラになってくる。」などと言っていました。それでも、自分には合ったポジションだったと思っていましたw