グランドスタッフが恐れるDLY CREW急病編

前回は、DLYがどのような理由で起こるかをお伝えしました。

今回は、私がグランドスタッフとして遭遇した、CREW急病によるDLYについてです。

私が担当した中で、最も長時間DLYしたフライトとなりました。

キャプテン急病

その日、出発担当だった私は、カウンターでチェックイン業務を行っていました。

チェックインも終盤に差し掛かかり、出発カウンター責任者から、そろそろゲートに向かってほしいと指示を受けたところでした。

そのとき、キャプテンが急病との知らせが入ります。

出発便のクルーは先程カウンターにSHOW UPし、カウンター責任者とも引継ぎを終えたはず。一体何が起こったのか、理解できませんでした。

出国手続き後に、乗れないと言い出すキャプテン

なんと、出国手続きを終え、出発便の機体に向かっていたキャプテンが、乗れないと言い出したそうです。すぐ救急車を呼んで欲しいとのこと。

この事態の後、乗れないのであれば、もっと早く言ってくれ!とスタッフ皆が言っていました。出国を終えた後に申し出たため、出国VOID(何らかの理由で、一度行った出国手続きを取り消すこと)の作業も必要となりました。

そしてキャプテンの様子を見に行ったスタッフから、救急車を手配して欲しいとの要請がありました。

救急車同乗

救急車にはスタッフが同乗することになりました。結局私が同行を申し出、キャプテンとともに、病院に行くことになりました。

その時、ロッカーに行って財布を取る時間がなく、所持金ゼロで空港を出てしまいました…

病院到着、診察

空港近くの病院に到着して、診察が開始されました。

私は当然、医師や看護師が英語で対応してくれるものだと思っていました。しかし、担当の医師は、私に通訳してくれと言います。検査のための同意書まで私に訳してくれと言います。

医療通訳は完全に業務外では?と思いつつ、無事に通訳を終え、診察が終わりまます。

診断結果は、「急性胃腸炎」とのことでした。

キャプテンは日本の保険に加入していないため、まずは全額自己負担で支払いをし、キャプテンが加入しているクルーのための保険から、後日支払われることとなりました。

10万円弱の診察料を支払って無事終了、キャプテンはホテルへと向かいました。

空港へ戻る

さて、無一文の状態で空港を出た私ですが、空港に戻らなければなりません。

駅の改札でランプパス(空港職員用の制限エリア立ち入り許可証)を提示し、空港の駅で他の職員に来てもらい、運賃を支払うことになりました。

11時間DLY

私は空港に戻った時点で帰宅することができましたが、ゲートで対応していたスタッフは本当に大変だったようです。

結局その日の朝の便で到着し、本来なら翌日の便で本国に帰る予定だったクルーが、急遽当日代行することになったそうです。

私は7時間程の残業で帰宅しましたが、その日の夜からまた出勤でした。

本当に疲れたのを覚えています。

もう数年前の出来事なのに、未だに記憶が鮮明です。

皆さんも救急車に同乗することがあるかもしれません。もしもの時に備えて、英語の問診票をスマホにダウンロードしておくと良いかもしれませんね。