航空機周辺での作業時における注意事項

グラハンスタッフやグランドスタッフが航空機の近くで作業する場合には、注意しなければならない事項があります。主にグラハンスタッフ向けの事項にはなりますが、グランドスタッフにも関係することもあります。

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1.エンジンのブラスト(排気)

航空機がエンジンをかけている間、エンジンの後方にはブラスト(エンジンからの排気)が出ます。エンジンがどのぐらいの出力で稼働しているか等にもよりますが、場合によっては、車両も簡単に吹き飛ばされてしまうほどの威力があります。


私は以前、空港内で運転する許可を所持していたのですが、その許可を得るための講習会において、ハイエースのような車両が、エンジンのブラストによって、いとも簡単吹き飛ばされるというビデオを見せられ、非常に衝撃的でした。

空港内で運転する際、稼働している航空機エンジン後方100mは危険区域となり、立ち入ることはできません。

今回は、空港内(ランプ)での運転許可についてです。 旅客グランドスタッフは、基本的に所持している人は非常に少ないですが、ランプさんには...

空港内での運転につきましては、当ブログの過去記事でも紹介しています。よろしければご一読ください。

羽田空港では、ランプ内を走る旅客用のバスを自動化しようというプロジェクトが進んでいます。安全運行にあたり、ブラストをいかに回避するかということが、重要なファクターとなっているとのこと。

羽田空港の制限区域内で自動運転の実証実験が始まった。SBドライブや先進モビリティ、ANA(全日本空輸)など6社が実験に参画し、2020年に開催される東京オリンピック期間前後で空港内と周辺地区における乗客輸送の自動化を目指す。

空港のランプ内で運転することに慣れてしまうと、危機感が薄れてしまいがちですが、空港での運転において小さな油断の1つは、大事故につながりかねません。一度事故を起こせば、多くの航空機の運航に支障を与えてしまい、損害は莫大です。常に安全確認を行い、安全運転を徹底しましょう。

2.エンジンのインテーク(吸気)

1の排気とは逆の、エンジンの前側に発生する、エンジンに空気を吸い込む力のことです。下記の画像をよく見てみると、左エンジンの前にコーンが置いてあるのがわかります。これは、エンジンに近づきすぎないように距離を保つためのものです。

下の画像は模型ではありますが、現実のハンドリングにおいても、コーンを置くという安全策が行われる場合が多々あります。

※アイキャッチ画像と上記画像は、無料画像のPixabay(https://pixabay.com/ja/)からお借りしました。

 平均的な大きさの人が、エンジン入り口付近で受ける力は、離陸時エンジン入り回の直前では約460 kg、アイドル時でも約140 kgほどに達する。
また、小さなエンジンだからといって、気を緩めることは禁物である。小さいエンジンは空気流量こそ小さいが、その吸引力は大きいエンジンに劣らない。
作業中に帽子などを飛ばされたりして、エンジン入り口付近に近づけいていった場合、極めて危険である。身の回りや周囲に、吸い込まれるおそれのあるものがないか、まず確認してから作業にのぞむ心構えと、危険区域の十分な認識を持たねばならない。

社団法人 日本航空技術協会 「航空機のグランドハンドリング」より

出発直前、スポットでエンジンをかけている航空機の側に行く機会は、グランドスタッフにもあります。航空機は基本的にプッシュバックしながらエンジンをスタートすることが多いですが、スポットに入っているときにエンジンスタートすることもあります。

ゲートで預かったバゲージ(ゲートバゲージ)を、グランドスタッフが機側のグラハンさんに直接届けるというケースも発生します。こうした場合、エンジンに近づきすぎないように十分に注意しましょう。

実際に、私がグランドスタッフとしてゲートバゲージを機側に届けた際、一緒に現場に向かったグラハン出身の同僚に、エンジンに注意と言われた記憶があり、周囲の他のスタッフにも、徹底するよう頼んだ記憶があります。

3.航空機の動き

スポットに出入り、またタキシング中の航空機の動きには、十分注意する必要があります。

航空機からの視界は悪く、動きも機敏ではありません。そして、燃料が大量に搭載されています。航空機に対して注意を払い、先にこれを回避する必要があるのは、航空機ではなく地上スタッフです。

航空機は翼の幅が広く、曲がる際には翼端の動きにも注意が必要です。

スポットで作業する際には、航空機の動きをよく見て安全な場所に車両を駐車するなど、とにかく航空機の動きを支障しないよう、十分に注意を払いましょう。

まとめ

今回ご説明した事項は、地上で作業するスタッフ(グラハンスタッフとグランドスタッフ)には欠かせないものです。地上職員として安全意識を強く持ち、作業にあたりましょう。