本日はACL(Allowable Cabin Load)についてのお話です。
ACLとは
搭載する燃料の量、天候などの諸条件から計算される、客室や貨物室への搭載許容量のことです。
グランドスタッフは直接、ACLの計算に関与することはありません。実際に行うのは、L/C(ロードコントロール)と呼ばれる部署の人たちです。
L/Cについては、当ブログの過去記事でもご紹介しております。
チェックインとACL
しかし、グランドスタッフはこのACLを意識しながらチェックイン作業を進める必要があります。GWや年末等の繁忙期でフライトが満席の日は、注意が必要です。
私がメインで担当していたキャリアは、日本で爆買いをされるPAXが多く搭乗することがありました。現地の大型連休シーズンには、大量のお土産を買われたPAXが続々とチェックインカウンターにSHOW UPします。
元々満席なので、航空機の重量は必然的に多くなります。チェックインバゲージの個数もかなり多くなります。従ってフライトが満席の日は、PAXの所持しているバゲージをしっかり計量し、重量を正確にチェックインシステムに入力する必要があります。
少しのオーバーだから追加料金は、自分の勝手な判断で徴収しないで見逃そう、などという考えは禁物です。
グランドスタッフが計量したチェックインバゲージの重量は、チェックインシステムを通じて、L/Cさんに伝わります。これに基づいて、L/Cさんはロードシートという、搭載プランを作成します。
チェックインバゲージのみならず、ハンドキャリーバゲージの重量も大切です。私が担当していたLCCでは、ハンドキャリーは7kgまでと決まっていました。サイズにも規定があり、スケールをチェックインカウンターの前に持って来て、ここに入らないバゲージはチェックインしてください、と案内します。
これも、航空機の安全性に配慮しての規定ですので、必ず守る必要があります。
グランドスタッフは、接客要員であるのは間違いないですが、搭乗前のチェックで、航空機の安全を確保するための確認作業をきちんを行う必要があります。グランドスタッフは、保安要員でもあるわけです。
ACLがタイトな夜
担当キャリア本国が大型連休中、多くの現地国籍PAXが搭乗していた夜でした。
カウンター担当のスーパーバイザーから、チェックインエージェントに指示が出ます。
なんと、ACLがタイトで、全てのPAXのチェックインバゲージが搭載できない可能性があるとのことです。
チェックインバゲージの総個数は、いくつになるか正確なことはわかりません。
全てチェックインバゲージが搭載できない場合に備えて、PAXのチェックインバゲージに目印をつけて欲しいという指示が出ました。搭載できない場合、出発空港に取り残され、別便で到着空港に送られるわけです。
現地国籍のPAXのバゲージに目印が付けられ、一旦カウンターに留め置きます。(現地在住の人なら荷物の到着が多少遅れても、自宅に帰れば用は足せますので、被害が少ないからです。)
ついにチェックインが終わり、20個ほどのバゲージが、私の勤務空港に取り残されることとなりました。
向こうの空港に到着したPAXは、自身のチェックインバゲージが届かなかったことで、お怒りだった人もいるのかなと想像しました。。。
まとめ
現地の空港で対応する、グランドスタッフの苦労を想像し、少し胸が痛くなりました。
チェックインバゲージが届かないといった事態は、私自身がPAXとして搭乗した際、まだ一度も経験していません。私がそのような不測の事態を経験しても、冷静でいようと自分に言い聞かせています。