駅員とグランドスタッフの共通点、違いとは

今回は、私が経験した駅員とグランドスタッフの共通点と違いについてです。

両職種の2つの共通点とは?

1.ハードな接客業であること

やはり両職とも、お客さまと第一線で接する、接客業であるという点が一番に挙げられます。駅員、グランドスタッフともハードクレーマーに遭遇する可能性が高い職種です。

ありとあらゆる層のお客さまに接する可能性があるため、状況に応じた臨機応変な対応力が常に求められます。駅員であれば列車の時間、グランドスタッフであれば自分の担当便の時間を常に意識して、お客さまに対応をする必要があります。お客さまは、ご自身の予定している列車やフライトに搭乗するために、駅や空港に来ています。そのため、常時タイムリミットを意識した接客と作業を行う必要があります。両職種は、常に時間に追われる仕事でもあります。

2.運輸業であること

これも大きな共通点です。駅員やグランドスタッフという職種は、接客業ではあります。しかし、鉄道輸送、航空輸送に携わる一員です。駅員は駅を利用される乗客の安全確保、グランドスタッフは飛行機のPAXの安全確保の一旦を担っています。

接客面だけがクローズアップされがちな両職種ですが、お客さまを安全に目的地にお連れすることを第一としている運輸業の一部門であるという強い意識をもって、業務にあたる必要があります。

両職種の違い

1.ドメスティックな職場環境か、国際的な職場環境か

鉄道は基本的に国内産業で、海外とのつながりはやや希薄です。昨今は、インバウンドで日本に観光で訪問する外国人も増えていますが(この記事を執筆している2020年3月27日では、コロナウイルスによる国際線フライトの大減便で、外国人観光はいない状態ですが…)、外国人乗客の少ない駅も多いです。

JR東日本はタイ、インドネシアといった国へ技術移転を行っていますが、そういった海外事業に携われる社員は、社内でもごくわずかです。

鉄道会社に就職する人は、国内志向の人が非常に多いです。私が大学卒業後、鉄道会社に就職し、駅での勤務を開始した際も、その事実を痛感しました。特に年配社員は、行動範囲が狭く、ほぼ自分の地元だけで生活しているような人も多かったです。

駅員の働く職場環境は、海外に目が向いている人が非常に少ない、ドメスティックな職場環境と言えます。社員にも外国人はほとんどおらず、異文化に寛容な人も少ないです。

これに対し国際線業務に従事するグランドスタッフは、海外旅行の好きな人も多く、職場での話題も海外に関することが非常に多かったです。今度の休みはどこの国に行くとか、以前どこの国に行ったという具合です。

グランドスタッフは、社員に外国人も多く、私が以前勤務していたハンドリング会社では、フィリピン、中国、台湾、韓国、ネパール、スリランカといった多国籍チームでした。日本人社員も異文化が好きで、異文化に寛容な人が非常に多いです。

2.勤務時間

駅員は基本的に24時間拘束の、実働約16時間の勤務となります。それに対し、グランドスタッフは日によって勤務時間はまちまちで、10時間勤務、8時間勤務や、日によっては6時間程度の日もあります。

駅員にとって、職場は生活の一部です(泊り勤務のため)。小さな駅は社員も少なく、人間関係も密になります。先輩社員が言っていたのですが、24時間会社に拘束されるというのは本当にきついです。考えようによっては、まとめて働いてまとめて休むという合理的な働き方と言えます。

グランドスタッフはよっぽどのイレギュラーを除きいて、基本的に毎日帰宅することができます。元駅員だった私がグランドスタッフになり、嬉しかったのはこの点です。駅では気が合わない先輩とも24時間一緒ですので、疲れてしまいます。それと比較し、グランドスタッフ時代は気が合わない先輩と一緒にいる時間は大分短くなります。

まとめ

駅員とグランドスタッフの両職種を経験されたことのある方は、ほとんどいないと思います。職場で働く価値観からすると、グランドスタッフの異文化、多文化に寛容な環境の方が私は圧倒的に好きです。

しかし、駅員時代に経験したモンスタークレーマーへの対応力は、グランドスタッフになってから、私を大いに助けてくれました。あらゆる種類のお客さまへの対応力を身につけられたのも、駅員という業務に従事していたからこそだと考えています。過去の自分が、現在の自分を助けてくれるという事実を強く実感し、駅員時代の経験に感謝しました。