グランドスタッフは、業務でトーキー(携帯無線機)を使用し、連絡を取り合います。無線で使用される用語は、一般的な会話文と少し異なります。今回は、ハンドリング時の無線交信の実例を見てみましょう。
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グランドスタッフの無線交信(基礎編)
まず相手を呼び出す際は、当然ですが自局の名前(自分の名前)を言います。
基本中の基本ですが、トーキーでの無線通信は、相手が話しているとき、は自分は話すことができません。従って、相手に「どうぞ。」と言って、送信権を渡す必要があります。
ある人から別の人へ(個人対個人)
例えば以下のように交信します。
「○○(エアラインの2レター)カウンター○○(自分の名前)より、ゲート○○さんどうぞ(取れますか)。」
この例では、ゲート○○さんはこう応答します。
「ゲート○○です、どうぞ。」
しかし、トーキーはハンドリングに関わる全ての職種の人が聞いています(旅客、グラハン、オペレーション、オフィス等)。ある個人から別の個人へ、一対一のやりとりだけでは済みません。
ハンドリングに関わる全ての人に聞いてもらいたい場合は、以下のように言います。
個人対全局(ハンドリングに関わる全ての人へ)
「○○(エアライン2ーレター)オールステーション(全局)、○〇(エアライン2ーレターと便名)便、まもなくランディングです。」
交信の実例(到着編)
PR(フィリピン航空)の便名を当てはめ、実例を見てみましょう。
ブロックイン
「PRオールステーション(全局)、PR428便ブロックインタイムは14:05です。」
降機開始
「PRオールステーション(全局)、PR428便PAX(旅客)降機開始は、14:08です。」
交信の実例(出発編)
カウンターオープン
「PRオールステーション(全局)、PR427便カウンターオープンします。」
カウンターカット(クローズ)
「PRオールステーション(全局)、PR427便カウンターカットします。」
搭乗開始
「PRオールステーション(全局)、只今からPR427便ボーディング開始します。」
搭乗途中
「PRオールステーション(全局)、PR427便ゲートリメインは、約30名です。」
※ゲートリメインとは、未搭乗のPAX数のことです。
搭乗完了
「PRオールステーション(全局)、PR427便オールパッセンジャーゲートスルーです。」
PAXドアクローズ(旅客が乗り降りするドアを閉じること)
「PRオールステーション(全局)、PR427便パッセンジャードアクローズは、14:55です。」
ブロックアウト
「PRオールステーション(全局)、PR427便ブロックアウトタイムは15:00です。」
その他
相手が送信した内容が、良く聞こえない場合、以下のように送信し、相手に内容を繰り返してもらいます。
「再送願います、どうぞ。」
「もう一度よろしいでしょうか。」
交信に割り込むとき
前述のように、無線は誰かが話しているときは、話せません。しかし、場合によっては、どうしても割り込む必要性が出てきます。そのようなときは、以下のように言います。
「ブレイクします。」
この文言を使い、これから無線交信に割り込む旨を、聞いている側に周知します。
まとめ
特殊な言い回しもある、無線交信。最初はちょっと戸惑いますが、慣れですね。私の周囲では特に、日本語がある程度堪能な同僚でも、無線の言い回しは苦手な人がいました。
そこで、私が以上のように文字に書き起こし、説明することも時々ありました。グランドスタッフの交信例が知りたい方、外国籍の方で、グランドスタッフ業務に関係する方の参考になれば幸いです。
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