※アイキャッチ画像は、無料写真素材のACさんからお借りしました。
国外に出国する際、そして外国に入国するためには、言うまでもありませんがパスポートが必須です。
今回は私が遭遇した、機内にパスポートを落としてきてしまったPAXについてのお話です。
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出発担当をしていると
その日私はチェックインを終え、搭乗ゲートに向かいました。担当していたのは、東アジアの某LCCです。このLCCは1日2便を運航していましたが、1便目はターンアラウンド(ブロックインからボーディング開始までの時刻)が短く設定されていました。
その日は20分程遅れて到着したこともあり、出発担当のスタッフの間には、定時に出発させるべくピリピリした雰囲気が漂っていました。
航空機がブロックインし、PAXの降機が終了します。到着動線にPAXが誰もいないことを確認し、到着動線から出発動線に切り替えます。
私もゲートに戻り、ボーディングの準備を進めようとしていました。
そのときです。到着エリアに入るドアから、2人連れ(男性1、女性1)のPAXがこちらを呼んでいることに気づきます。そのLCCキャリアの本国国籍である、その外国籍PAXは英語のメモを見せ、「パスポートがないので、機内を探してくれないか」と言っています。
なぜメモを見せているのかというと、既にボーディングのために動線を出発に切り替えていたための、到着動線のドアを開けることができなかったという理由があります。
CAやグランドスタッフが機内を捜索
そこでCAにも依頼し、我々グランドスタッフからも1名が捜索に向かいます。当該PAXのシートナンバーを聞いていたので、その周辺を探しています。
残念ながらその結果、パスポートはありませんでした。その件をメモに書き、そのPAXに伝えたところ、機内にあるはずなので、自分に探させてほしいとのこと。しかし、ボーディング開始が迫り、あえなく時間切れとなりました。
結局、入国できないという事態になりました。日本まで来て、しかも機内にパスポートを忘れたばかりに入国できないという事態は悲惨すぎます。ちなみに、パスポートを無くしたのは女性の方だけでした(2人揃って無くすということはさすがにないと思いますが)。
パスポートがあるその男性PAXは入国し、無くしてしまった女性PAXは本国へ帰ることになりました。
日本に入国できず、本国へ送還
その後の対応は、到着のCIQ各所に連絡するという流れは、INAD対応と同じです。
INAD(イナド、またはインアドと呼びます)とは、何らかの原因(日本で過去に悪いことをした)で入国拒否となり、本国へ送還しなければならないPAXです。
到着エリア→出発エリア→搭乗で本国送還という流れになります。
これについては、上記過去記事でお伝えしましたので、ご覧ください。
このPAXは単にパスポートを無くしただけですので、入国拒否というよりも、入国審査自体が受けられない状態でしたので、厳密にはINADとは違いますね。
しかし、到着エリアから出発エリアに連れていくという流れは同じです。際際乗り継ぎ(国際線から国際線へ乗り継ぐ動線)を経由し、出発エリアへとグランドスタッフがアテンドします。帰りの航空券は、もちろんPAXの負担で購入してもらいます。
出発エリアで待っている間、リターンチケットを購入してもらいます。そして、その女性PAXは翌朝の便で、本国へと帰国しました。
その後についてとまとめ
念ため、本国の担当へこの件を連絡していました。到着後、機内を改めて捜索したところ、シートと壁(窓側)の間に挟まっていたとのこと。こちらでは、ボーディングが迫っていたこともあり、十分に探せなかったこともあり、残念な結果となりました。
そしてその一週間ほど後、同僚からその女性PAXを到着便で見かけたとの情報が。日本には、大切な用事があったのでしょうか。大切な用事があってもなくても、大切なパスポートの管理には気を付けたいものです。
その女性PAXには大変な経験だったと思いますが、当時グランドスタッフだった私にとっても、強烈な印象を残す出来事でした。