シートのDUPEが発生したら?

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DUPEとは?

普通はあるフライトにおいて、1人のPAXにつき、1つのシートが割り当てられます。しかし、1人のPAXが2つの予約を所持していることがあり、これをDUPEと言います(Duplicate(重複)の略です。)

2人のPAXのシート番号が同じ!?

ある日のハンドリングで、ボーディングが終盤に差し掛かったとき、私は機内の状況を確認しに向かうことになりました。

これはPAXのハンドキャリーバゲージが、頭上の収納スペース(オーバーヘッドコンパートメント)に入らない時は、カーゴルーム(貨物室)に搭載する必要があるため、バゲージの状況を見極めるため。そして、まだゲートにSHOW UPしていないPAXがいるとき、BGR(ゲートのスキャナー)へのBPのスキャン漏れのために、システムに反映されていない可能性を考慮し、実際にそのシートにPAXがいるかどうか確認する、オンボードチェックを行うためです。

さて、機内状況確認中の私のところに、機体最後列のシート、窓側のシート番号を持つPAX(PAX(A)とします)申告がありました。なんとそのシートに、既に他のPAXが座っているとのこと。そこで、当該座席に座っているPAXのところ(PAX(B)とします)へ行き、BPを確認したところ、シート番号は確かに同じ座席です。

なぜこんなことが発生したのでしょうか?

同じ席が2つ生まれてしまった理由

申告してきたPAX(A)に確認すると、機体最後列のシートを希望していたため、追加料金を事前に支払い、WEBチェックインをしたとのこと。

一方PAX(B)は、座席を指定せず、当日チェックインカウンターで、チェックインしたとのこと。ゲートのチェックイン端末で確認すると、PAX(A)のシートは、当初予約した最後尾のシートではなく、別のシートになっていました…

つまりシステムエラーで、元々予約していたPAX(A)のシートが外れてしまい、勝手に別のシートに割れ当てられてしまった。というのが事の真相でした。PAX(A)が見せてくれた画面は、シートが外れる前の古い座席のものだったため、あたかも2人のPAXが、同じシートを持っているように見えてしまった訳です。

この出来事は、本来の意味でのDUPEとは少し違いますが(厳密なDUPEではなく、一方のシートが勝手に変更されていた)、PAXの立場やグランドスタッフ側としては、そう見える事象でした。

結局、お金を出してシートを購入したPAX(A)に最後尾のシートにお座り頂き、意図せずその席に割り当てられてしまったPAX(B)には、PAX(A)にシステムが勝手に割り当てたシートに座って頂くことで、事なきを得ました。お二人とも、冷静な方で本当に助かったというのが正直なところです。

まとめ

予約していたシートに、別のPAXが座っていて、しかもその人も同じシート番号を持っていたら驚きですね。ドアクローズ時刻も迫っており、私も一瞬驚きましたが、シートの交換で丸く収まって安堵しました。

その後定時にドアクローズし、オンタイムで出発できました。グランドスタッフとして、機転を利かせて対応することも重要ですが、何よりもPAXの協力こそが、オンタイムでの出発における大切な要素だと、痛感したハンドリングでした。

※アイキャッチ画像ならびに本文画像は、無料画像Pixabay(https://pixabay.com/ja/)からお借りしました。