オンボード給油(旅客在機中の給油)

オンボード給油とは?

オンボード給油(オンボードフュエル)は、旅客(PAX)在機中の給油のことです。特にLCCではターンアラウンドタイム(ブロックインから搭乗開始まで)の時間が短くなっており、給油が終わっていないから、ボーディング開始をしない、という訳にはいきません。そこで、出発までの時間を短縮する意味もあり、PAXが搭乗中や在機中であっても、給油を行っているのです。

ちなみに、私がメインで担当していた東アジアのLCC(A0321使用)では、ターンアラウンドタイムは45分でした。短いターンアラウンドタイムで、PAXの搭乗をしながら給油することは、定時運航に寄与する必要不可欠な要素です。

オンボード給油の根拠となるもの

空港法第四条で定義される空港(成田、羽田、中部、関空、伊丹等の空港)に適用される、「空港管理規則」にはオンボード給油についての条文があります。

空港管理規則

(給油作業等)

第二十条 航空機の給油又は排油については、左に定めるところにより、作業を行わなければならない。

一 次の場合には、航空機の給油又は排油を行わないこと。

ニ 必要な危険予防措置が講ぜられる場合を除き、旅客が航空機内にいる場合

電子政府の総合窓口(e-Gov)。法令(憲法・法律・政令・勅令・府令・省令・規則)の内容を検索して提供します。

「必要な危険予防措置が講ぜられる場合を除き」ですので、逆に言えば、必要な危険予防措置が講じられていれば可能とのことです。定期旅客便ではCAもいますし、適切な避難誘導もできるとのことで、オンボード給油が許可されているのです。

国土交通省資料 要望に対する対応案について(現時点で結論が得られているもの)

https://www.mlit.go.jp/common/000186062.pdf

上記国交省資料によれば、「ICAOの基準では、旅客の避難誘導員の配置及び当該者への連絡手段の確保を行うことにより旅客の在機中の給油が可能。」とのことで、空港管理規則と同じような基準と言えます。

オンボード給油ができなかった頃

これまでご説明した通り、オンボード給油は必要な危険予防措置が講じられていれば、可能です。しかし、これまでは日本の事業者には「旅客在機中の給油は原則禁止」という風潮があったとの説明がなされています(前述の国交省資料による)。

私がグランドスタッフとして勤務を始めた、2015年5月当時は、まだオンボード給油が許可されていませんでした。その頃から私は既に、東アジアのLCCをハンドリング(ターンアラウンドタイム45分)していたため、特にDLYが発生すると、オンボード給油ができないのは、非常に辛い要素でした。

そこで、少しでもボーディングタイムを短縮するための手段として、「ロタンダボーディング」という手法を採っていました。ロタンダとは、PBB(ボーディングブリッジ)の付け根部分のことです。そこでPAXをスタンバイさせておくことで、数分ではありますが短縮することができました。

しかし入社後半年程経過すると、オンボード給油が許可されるようになり、ロタンダボーディングも不要となりました。

患者搬送便(MEDIVAC)のオンボード給油

患者搬送便(MEDIVAC)は、空飛ぶ救急車とも言えるもので、文字通り患者さんを海外へ(から)患者さんを輸送するためのフライトです。

海外から出発して、日本の空港でテクニカルランディング(燃料補給)を実施し、第三国に行くこともあり、そうした場合には、PAXが在機中に給油をすることがあります。

定期旅客便の多くのPAXとは異なり、患者搬送便のPAXは、動ける状態にはありません。そこで、患者搬送便でオンボード給油を実施する際は、必ず消防車を機側にスタンバイさせておくことが必要です。これが、必要な危険予防措置に該当するという訳です。

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まとめ

ターンアラウンドタイムの短縮には欠かせない、オンボード給油についての話題でした。現代では航空機への給油も安全に実施が可能となっていますが、案外数年前までできなかったというのが意外な事実ですね。

※アイキャッチ画像ならびに本文画像は、無料画像Pixabay(https://pixabay.com/ja/)からお借りしました。