航空機は通常、ジェット燃料を使用したエンジンによって、航行します。しかし現在、アメリカの企業がセスナ機を全電動化し、飛行試験を実施しているというものです。
※アイキャッチ画像は、下記ニュースリンクよりお借りしました。
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全電動のセスナグランドキャラバンが試験飛行
セスナ208グランドキャラバンが、ワシントン州で30分ほどの試験飛行を実施。同機は2021年末までに、航行可能距離を100マイル(約160km)まで伸ばせると見込んでいる。
ちなみに、30分間の試験飛行で消費した電力は、わずが6ドル分ということです。
セスナ208は、最大14名ほどが搭乗可能な小規模な機体です。
電動航空機の課題は?
ジェット燃料は原油を原料として作られています。原油はもちろん無限にはなく、将来的には地球上から枯渇してしまうとされていますね。いずれ無くなる資源に代わる手段を開発しなければならない、というのは間違いないのですが、電動航空機に関しては、それほど積極的に開発されているわけではなさそうですし、まだ課題が多そうです。
そもそも航空機は、当たり前ですが国内線においても鉄道や自動車よりも長距離を航行するのが当たり前です。バッテリーの問題もあり、上記の電動セスナも差し当たり160kmぐらいの飛行する性能をまもなく獲得できようかという段階とのことです。
東京から静岡が146kmですが、この程度であれば、電車で十分ですし、自動車でも十分運転可能です。正直、現段階では実用性はほとんどないと言えますね。
国際線路線で運航できる電動機が開発されるのは、遠い将来のことと言えそうです。
ジェット燃料の価格下落も
更に新型コロナウイルス感染拡大で、世界中で旅客輸送が激減しました。これによって、ジェット燃料の価格も大幅に下落しています。従来のジェット燃料が安いのであれば、電動機のメリットは一時的にではあるにしろ、大きく下がってしまうでしょう。
新型コロナウイルスを巡る状況は、電動航空機の開発にとっても、与える影響が極めて大きいのではないでしょうか。
しかし裏を返せば、電気代は原油価格のような変動がありませんので、十分な性能を有する電動航空機が開発されれば、エアライン各社にとって、ランニングコストの低い航空機となる可能性は十分にあり得るのではないでしょうか、
まとめ
電動航空機が十分に実用化できれば、燃油サーチャージも消滅しますね。そんなものがあったんだと語られる時代も到来するかもしれません。
私自身は、特にプライベート・チャーター機のハンドリングをしていた際、ランプ内に行くことも多く、そこで匂ってくるジェット燃料の匂いが好きでしたw
ジェット燃料によって駆動する航空機が、地球環境に優しくないのは言うまでもありません。クリーンな電動航空機は、環境への負荷はほぼゼロだと思います。しかし、燃料の匂いやエンジン音が聞けなくなる未来が来るのは少し寂しい気もしました。