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デアイシング(De-icing/Anti-icing)作業とは?
航空機に付着した、氷・雪・霜などを除去した後、更に氷・雪・霜が付着しないようにする作業です。この作業には、温水をかける、高圧空気、防除氷液を使用します。
上記写真では、除氷車が作業を行っています。除氷車はまず、雪や氷を、高圧空気や温水、TYPEⅠという除雪液で除去します。その後、TYPEⅣという防氷液を使用し、氷や雪の付着を防ぐ措置をします。しかし、防氷液を機体に散布したからといって、いつまでも有効なわけではありません。
防氷液の効果が持続する時間を、ホールドオーバータイムといい、気象条件にもよりますが、約15分程度とされています。このホールドオーバータイムを見積もり、出発前に作業を実施します。
日本では、関東化学工業が製造・販売する防除雪氷液が有名です。
この防除氷液ですが、プロピレングリコールという物質を使用しています。自然分解する物質であるとのこと。しかし、雪の多い千歳空港では環境に配慮し、そのまま河川に流れないよう、調整池を設けているとのことです。
https://www.cab.mlit.go.jp/tcab/img/cool/allv7.pdf
飛行中に使用する防除氷雨装置
前述のデアイシング・アンチアイシング作業は、地上で行うものですが、航空機は当然、航行中に雪や氷といった気象条件に見舞われます。こうした事態に備え、航空機には防除氷雨装置が装備されています。
エンジンの空気取り込み口や、運航には欠かせない、速度(対気速度)を測定するピトー管等に、防除氷雨装置が装備され、凍結を防いでいます。
ピトー管が凍結してしまうと、速度の測定に支障が発生し、速度計に表示される値が狂ってしまい、事故に繋がるケースもあります。
デアイシング(De-icing/Anti-icing)作業を怠ると…
下記リンクで紹介されている例を見ると、デアイシングが不十分なことに起因する、離陸直後の失速による墜落、離陸後のトラブルによるダイバートといった事例が紹介されています。
ダイバートとは、目的空港の変更です。よろしければ、当ブログ過去記事をご覧ください↓
翼に雪・氷・霜が堆積していると、充分な揚力(浮く力)が確保できず、危険な状態になります。
運航乗務員がデアイシングの必要性について、認識不足だったことによる事故もあり、非常に怖くなります。必要性をきちんと認識し、デアイシング・アンチアイシング作業を実施さえすば、防げる事故だったということですね。
上記写真のような状況だと、デアイシング・アンチアイシング作業を実施する、グランドハンドリングスタッフも、歩行時や車両の運転時に、充分な注意が必要ですね。
まとめ
私もプライベート・チャーター機ハンドラー時代、冬季にCTS(千歳空港)発着のハンドリング手配を実施する際、出発時のデアイシング・アンチアイシング作業をオーダーしていたことを、思い出しました。
今回は冬季の安全運航には欠かせない、デアイシング・アンチアイシングの話題でした。
参考文献 社団法人 日本航空技術協会 「航空機のグランドハンドリング」
※アイキャッチ画像ならびに本文画像は、無料画像のPixabay (https://pixabay.com/ja/)よりお借りしました。