新型コロナウイルス(COVID-19)による、空港従業員雇用への影響

この記事を書いている、2020年3月12日現在、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、感染拡大防止のため、以下のような防疫措置が取られています。(この措置は、3月9日午前0時から発動とのことです。)

中国(香港、マカオも含む)、韓国から日本に入国できる空港の制限

1.検疫の強化
中国及び韓国からの入国者に対し、検疫所長の指定する場所で14日間待機し、国内において公共交通機関を使用しないことを要請。

2.航空機の到着空港の限定等
(1)航空機:中国又は韓国からの航空旅客便の到着空港を成田国際空港と関西国際空港に限定するよう要請。
(2)船舶:中国又は韓国からの旅客運送を停止するよう要請。

外務省海外あんぜん ホームページ

新型コロナウイルスによる感染症(その18:日本政府の措置)

中国(香港、マカオも含む)、韓国から日本に入国できる空港は、成田ならびに関空に限定されています。成田、関空から入国しても、14日間は自主的に待機する必要があり、かなり行動が制約されますね。

羽田空港も、中国韓国便の運航停止

羽田空港のような日本でも随一、中国や韓国とのPAXの流動がある空港で、両国を結ぶフライトが運航停止とは、異常事態です。

フライトが運航停止の状態になると、それに伴い、グランドスタッフ、グラハンスタッフ、機内清掃、燃料補給、ケータリングといった業務に従事するスタッフが皆、稼働停止せざるを得ません。

また、空港運営会社にとっても、出発便のPAXから徴収するPSFC(Passenger Service Facility Charge)というターミナル使用料を徴収できない状況となり、かなりの痛手でしょう。出発のPAXが激減しても、ターミナル施設の維持管理は変わらず行う必要があり、ランニングコストばかりがかさむ状況です…

中国(香港、マカオ)や韓国便は、羽田空港国際線フライトの中でもかなりの割合を占めます。

運航停止の数日前には、香港から到着したフライト(180人乗りのシップ)に、PAXが20数名しか乗っていなかったとの情報を、空港勤務の友人から聞きました。

時給制で働く方への影響

中国、韓国便の運休により、それらの便に関わるハンドリング業務は一時的にであれ、消滅している状態です。

WHO「新型コロナウイルスはパンデミックといえる」

NHK NEWS WEB 3月12日

WHOも、コロナウイルスはパンデミック状態と言えるとの見解を示しています。

この状況が正直いつまで続くかわからない状態ですので、特に影響を受けるのは、以下のような雇用体系で、時給で働く方々になると思います。

  • アルバイト、パート
  • 時給制契約社員
  • 派遣社員

空港従業員には、以上のような雇用体系の方々が非常に多くの割合を占めています。私も空港で勤務を始め当初、1年間はアルバイトでした。

勤務時間が0になってしまうと、当然時給も0になってしまいます。新型コロナウイルスの流行は誰もが予測できなかったため、休業手当を支払う会社もあれば、会社に非がないとして払わない会社の2通りに分かれるでしょう。

空港で時給制で働くリスクの顕在化

私が空港で勤務していた期間、こういった事態は経験しませんでした。

予測ができない事態なので、当たってしまった場合、会社からの(業務がないための)自宅待機要請を受けてしまい、収入減もしくは0となり、実家に帰省するか、他の一時的なアルバイトを見つけてしのぐしか方法がなくなってしまう可能性があります。

派遣社員の場合、雇用期間が3か月毎に更新という場合も多いので、派遣切りのリスクもあります。

時給制で空港で働いている方は、非常に厳しい状況に置かれていると言わざるをえません。

まとめ

4月以降、気温が上がるとコロナウイルスは収束に向かうという見方もあります。一刻も早く中国、韓国便が運航を再開し、ハンドリング業務が元に戻ることを祈るばかりです。

平時であれば、アルバイトや派遣で空港を始めてみて、ご自身の空港業務への適性を見極めるというのありだと思っているのですが、現時点では全くおススメできない選択肢だと、私は考えています。

ineed等の求人検索エンジンで、「羽田空港国際線ターミナル」と検索すると、時給制の求人も、未だに多くの求人がヒットします。各社とも、コロナウイルスの状況を判断しかねている状態だと思います。

今年の夏には東京オリンピックもあり、羽田空港国際線は大幅な増便を控えています。航空機のハンドリング人員が大量に必要とされる状況を間近に控える中、逆に雇用情勢の悪化に直結するような事象が進行中です。

オリンピックも控えている状況ですし、空港各社は是非雇用を守って欲しいというのが、元グランドスタッフである私の願いでもあります。各社の出方が非常に気になっています。