TIMATICについて

今回は、国際線グランドスタッフには必須のツールである、TIMATICについてです。

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TIMATICとは?

TIMATICとは、IATA(Internationl Air Transportatino Organization、日本語では国際航空運送協会)が提供する、海外に渡航する際にどんなトラベルドキュメントが必要か調べられるツール、Travel Information Manualの電子版です。

以前以下の記事で、チェックインカウンターで出発業務を行う際に、ドキュメントチェックが必要であることをお話ししました。その際に使用するのが、TIMATICです。

グランドスタッフのチェックインカウンター業務にいて、お伝えします。

ある国に渡航するために必要なドキュメント

日本のパスポートは強力で、ある国に渡航するにあたって、ビザが必要であるという場合はとても少ないです。例えば香港なら90日間、フィリピンなら30日間ビザなしで滞在が可能です。

日本の近隣国で渡航にあたりビザが必要なのは、ロシアぐらいでしょうか。

しかし他国に渡航するにあたり、ビザが必要という国籍も多いです。中国籍の人も、日本に渡航するにはビザが必要です(ちなみに、香港国籍の人はビザなしで90日間滞在が可能です。)。フィリピン国籍の人も、日本に渡航するにはビザが必須となります。

チェックインカウンターで

国際線チェックインカウンターに立っていると、あらゆる国籍のPAXがSHOW UPします。自分の担当便のカウンターで、よく遭遇する国籍の人なら、渡航条件は把握しているはずですが、そうでない国の方々もいます。

例えば、香港行きのフライトのカウンターに、日本在住のパナマ国籍のPAXがSHOW UPするとします。さすがに、香港行きのフライトでこの国籍の方は多いとは決して言えません。こういった場合、TIMATICを使用するのです。

TIMATICですが、グランドスタッフだけのものではありません。例えば下記のリンク(ユナイテッド航空)のサイトでも、誰でも無料で使用可能なのです。

※↑404という表示がなぜが出てしまいますが、リンク先の表示に問題はありません。

サイトを開くと、出発地と目的地、居住地、国籍といった情報を入力する画面が出てきます。この場合、以下の条件で検索してみます。

出発地:日本

目的地:香港

国籍  : パナマ

居住地:日本

さて、このパナマ国籍のPAXが香港に渡航する場合の入国条件は、TIMATICより以下の通りです。

以下、TIMATICより引用。

Hong Kong (SAR China) – Destination Passport

Passport required.

Travel without passport is possible for:

Passengers with a re-entry permit issued by Japan.

Document validity rules:

Passports and other documents accepted for entry must be valid for a minimum of 1 month beyond the period of intended stay.

Entry and Transit restrictions apply:

Passengers are not allowed to transit or enter Hong Kong (SAR China).

This does not apply to passengers who have only been in China (People’s Rep.), Chinese Taipei or Macao (SAR China) in the past 14 days.

This does not apply to the following passengers:
– Passengers travelling from Mainland China or Chinese Taipei or Macao and have not been to any other country/region in the past 14 days;
– Crew members of aircraft who need to commute to and from foreign places for performance of necessary duties or crew members of goods vessels;
– Government officials carrying out government duties including personnel of consular posts;
– Spouses and minor children of Hong Kong residents;
– Personnel engaged in anti-epidemic work endorsed by the HKSAR Government.

Important:

All passengers who are eligible to enter Hong Kong will be required to undergo 14 days compulsory quarantine.

Hong Kong (SAR China) – Destination Visa
The following are exempt from holding a visa:

Nationals of Panama for a maximum stay of 30 days.

引用終わり。

色々と条件が記載されていますが、平時であれば重要なのは赤字の部分となります。この場合、PAXが一週間後に香港を出国すると申告し、グランドスタッフがEチケットの控えを確認したとします。ということは、ビザは不要ですね。

現在、コロナウイルスの感染拡大で、香港市民の配偶者やその未成年の子等一部の例外を除き、トランジットや入国はできないことになっています。

このような最新情報も、TIMATICにはきちんとアップデートされています。

プライベート・チャーター機ハンドリングでも

ハンドリングを受託した運航会社の担当から、この国籍はビザなしで日本に入国できるのかといった質問を受けることが度々ありました。旅客グランドスタッフからすると、TIMATICは常識ですが、プライベート・チャーター機の運航会社担当はオペレーション寄りの人が多い印象でした。よって、こういったツールを知らない人が多いのでしょう。

一般の方のTIMATIC活用方法

例えばある国に旅行を予定している場合、渡航条件をご自身で確認するでしょう。ガイドブックにも渡航条件の記載がありますので、日本国籍の場合の渡航条件は簡単に確認可能です。

しかし、例えば配偶者が外国籍の場合、渡航条件について日本語で情報が収集可能な場合が少なくなるでしょう。また、外国籍の友人と海外旅行という場合にも活用できると思います。

まとめ

長くなりましたが、TIMATICは一般の方でも無料で活用可能な便利ツールです。身近に外国籍の方が多い環境にある方、グランドスタッフ志望の方であれば、入社前にTIMATICを読む練習ができるのでおススメのツールです。