グランドスタッフ(旅客)の役割分担

今回は、グランドスタッフの旅客業務において、どのように役割分担が分かれているのかお伝えします。

これまでの記事で、チェックインやゲートを担当する出発、到着ロビー等で、到着PAXを担当する到着の2つに大きく分かれていることをお話ししました。

更に出発、到着チームの中でも、細かな役割分担があります。どんな担当があるのでしょうか。

※以下の役割分担は、航空会社やグランドハンドリング会社によって異なります。

グランドスタッフの役割分担一覧

出発の役割分担

チェックイン

出発業務でメインとなるのが、言うまでもありませんが、チェックイン業務です。必要人員の数は、機体の大きさなどから航空会社が決定し、それを充たす人員を、グランドハンドリング会社がカウンターに配置します。

カウンター責任者

(CC、Counter in chargeの略、DS、Departure Supervisorの略。とも呼ばれますが、会社によって呼び方は違います)

チェックインエージェントを統括する、出発便の旅客担当責任者です。

カウンターオープン前に、シートアサインを決めたり、その便で注意するべき情報を伝えます。出発便だけでなく、到着便の情報も把握する必要があります。

到着便で、WCR(車椅子)のPAXや、DEAF(耳の不自由なPAX), BLND(目の不自由なPAX)といった、ケアが必要などです。

カウンターオープン前に、チェックインエージェントを集めてブリーフィングをし、これらの情報を伝えるのも、カウンター責任者の役割です。

キャッシャー

カウンターでチェックインしていると、チェックインバゲージの個数、重さ、サイズが、規定を上回るPAXがいます。

当然追加料金が発生しますので、お支払いいただきます。

また、シートピッチが広い座席など、有利座席も追加料金の対象です。

追加料金等、お金を収受する役割です。

キャッシャーを、チェックインエージェントが兼任している場合もあります。

ゲート責任者(Gate in charge、GL、Gate Leaderの略)

出発ゲートの搭乗責任者です。他のチェックインエージェントと同じく、カウンターオープンからしばらくの間、チェックイン業務を行います。

私が主に担当していたLCCキャリアでは、本国から便が到着して、その機体がそのまま出発するという流れでした。私はGLを担当していましたが、その際到着便が駐機スポットに入るまでに機側に到着し、ドアオープンをして、到着CREWが機体から出たところまで見届け、到着の動線を出発の動線に切り替えるという作業も担当していました。

GL業務は、出発の1時間程までにゲートに到着し、使用する端末やスタンション(金属の棒に細長い布がついている、列を整理するためのものです。)をまず準備します。

その後出発CREWがゲートに到着しますので、機体への動線を開け、出発準備へと向かってもらいます。

出発準備の様子を伺いつつ、CREWと打合せの上、搭乗開始時間を決めます。

各ゲートのスタッフに指示を出し、優先搭乗、一般搭乗を始める指示を出します。

要はボーディングのコーディネーターですね。

搭乗が終盤に近付いたら、搭載書類をゲートで印刷し、CREWに渡します。すべてのPAXが搭乗したら、CREWに出発okのサインを出し、ドアクローズをしてもらいます。

GLは、カウンター責任者の一歩手前のような役職と言えます。

到着の役割分担

到着シップサイド担当

到着時、WCR(車椅子)のPAXや、DEAF(耳の不自由なPAX), BLND(目の不自由なPAX)といった、ケアが必要なPAX対応を、シップサイド(機側)に行って行います。

そのほかにも、MAAS(Meet &Assist)といった、お出迎えが必要なの旅客もいます。

WCRにも3つのステータス分類があります。

以下のステータスは旅客スタッフは必ず知っておかなければなりません。

WCHS Wheel Chair for Step     歩行はできるものの、階段の昇降ができない。

WCHR   Wheel Chair for Ramp 歩行はできるものの、長い距離を歩くことができない。

WCHC   Wheel Chair for Cabin 歩行ができない。

歩行ができないPAXの場合で、当該PAXがエコノミークラスの場合、全てのお客様が降機してから、グランドスタッフがキャビン(客室)にはいり、当該PAXに機内で車椅子に乗って頂く必要があります。

LL担当

チェックインバゲージが返却されるカルーセル(ターンテーブル)の側に立って、到着PAXの対応を行います。

チェックインバゲージが何らかの理由で届かないことがあり、これを「未着」と呼びます。

未着情報は事前にシステムを通じて入ってくることもあれば、事前情報なしで突発する場合もあります。

「ワールドトレーサー」と呼ばれるシステムで、全世界の空港にある手荷物の状況を確認することができます。

PAXから荷物が届かないという申告があれば、このシステムを使って当該バゲージの場所を確認します。届かないと知った瞬間、お怒りになるPAXも多く(多くが日本人)、大変な仕事です。

丁重に謝罪した上、税関申告上必要になる書類を記入頂き、そのバゲージがいつ送られてくるかという情報がワールドトレーサーで確認できれば、それをお伝えします。

その他にも便がDLYした場合、便の遅延証明書を配布したりという作業もあります。

まとめ

グランドスタッフの仕事には、到着担当のように地味な仕事があります。

出発担当でも、機材故障による便のDLYなど、過酷な場面がたくさんあります。

それぞれのポジションごとに、楽しさ、辛さがあります。

私はチェックインカウンターで笑顔でチェックインをするよりも、LLで神妙な顔でPAXに謝罪する方が向いていたと思いますw(好き嫌いは別として、向き不向きで言うと)。

皆さんがそれぞれに合ったポジションでご活躍されることを願っています。