LL業務 恐怖のダブル未着編

今でも思い出すことがある、2件の未着が同時に起こった時の出来事についてです。到着LL業務については、以下の過去記事でどのようなものかご説明しています。

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前回の記事では、LL業務について、主に未着対応のお話でした。 今回は、到着担当としてLL業務に従事している際、その到着便から別...

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事前情報ではAHL(未着)は1件のはずが…

到着LL業務の準備をしている段階では、1つ未着(AHL)があるということが判明していました。私がその日担当していたのは、東南アジア某国のエアラインのLL業務でした。発航地である現地空港に、搭載できず置き去りにされているバゲージ(OHD、オンハンドと読みます。)があることが分かっていました。

このエアラインは、週に2度ぐらいはこのような未着が発生していた記憶があります。乗り継ぎ便が遅延していて、搭載できなかったということであればまだわかるのですが、乗り継ぎなしで、チェックインも出発の2時間前にしているというPAXのバゲージがAHLになったときは、もはや意味が分かりませんでした。

突然のダブル未着発生

事前情報が入ったPAXをターンテーブル付近で待ち、やはり情報通りに未着となったことをか確認します。翌日の昼便で私の勤務空港にフォワード(送ること)されてくることが分かっていましたので、それを当該PAXに伝えます。日本に旅行に来て、バゲージが未着になってしまうとは、気の毒です。このPAXは、乗り継ぎもなく、日本に到着するまでに乗ったフライトは1つだけでした。

翌日の便で到着したものをスタッフが受け取り、代理通関という手続きをします。この場合、税関職員がバゲージを開披する場合もあります。そこで鍵がある場合は鍵をPAXから預かり、コンビネーションロックがある場合はその数字の組み合わせを聞いておく必要があります。

宅配便PAXのもとに届くのは、翌々日になるが、その日は北海道のホテルに宿泊予定とのこと。AHLとなったバゲージの持主が旅行者の場合、旅程を詳細に確認する必要があります。宿泊先のホテル等にバゲージを送付するからです。宿泊先がホテルの場合、そのPAXにTCP(同行者)がいる場合、予約代表者の氏名の確認も必要です。

バゲージ送付の日程が決まれば、当該のホテルに電話してバゲージ送付の旨を、ホテルの職員に伝えます。

書類記入の作業をしていると、日本人の2名連れPAXから声を掛けられます。バゲージが届かないとのこと。事前情報にはなかったのに、と思いましたが起こってしまったものは仕方がありません。

念のため、バゲージ返却作業を担当するグラハンスタッフ(ソーティングBCと呼ばれていました)に残っているバゲージがないか確認しますが、やはり残っているものはないとのこと。

BC構内にある端末に向かい、確認すると発航地の空港にOHDとしてデータがアップされているのを確認できました。ここで、PAXに代理通関書類等の記入案内をし、作業を進めます。

ごねる日本人PAX

未着一組目の外国籍旅行者PAXは、起こってしまったものは仕方がないからと言って、書類の記入案内や今後の手続きを淡々と聞いてくれました。

ところが、2組目の日本人PAXが厄介でした。明日職場でお土産を配るから、明日届いたらあなたの責任で私の職場まで届けなさいなどと言い始めます。空港発の当日宅配便もあるのですが、当日対応可能なのは午前中に発送したものだけ。午後便での到着のため、当日到着はどうしても無理です。ちなみにこのPAXは、現地空港で一度乗り継ぎがあり、乗り継ぎの便がDLYしていたとのこと。

お土産を配るという行為に、そこまでのプライオリティーがあるのでしょうか?50代ぐらいの男性とその配偶者という組み合わせでしたが、明日お土産が届かないと困るの一点張りです。私共のミスではあるが、明日中にはバゲージを届られないという説明を繰り返します。

配偶者の方が明後日届けばいいじゃない、と言ってついに私の方に加勢してくました。確かに悪いのはエアラインですが、ちょっと諦めが悪すぎますね。

まとめ

LL業務をしていて、対応が難しかったのは、圧倒的に日本人PAXでした。外国籍のPAXのバゲージが未着だと、そもそも最初から冷静な方が多いです。日本の空港と違って、未着が発生する可能性が高く、状況に慣れているからでしょうか。

日本人PAXは、そういった状況に慣れていない方が多いなという印象を受けました。未着になっても、発航地である現地の空港にほぼ100%残っているわけですから、翌日ぐらいには日本に遅れて到着するわけです。

みなさんの身に起こってしまった場合でも、むしろ無料の宅配便で自宅に送ってくれてラッキー。自分で運ぶ手間が省けたぐらいな、ぐらいの考えでポジティブに対処して頂きたいと思っている元LL担当でした。