前回は主に、グランドスタッフが出発業務(カウンター、ゲート)で受けるクレームについて、お話ししました。
今回は、到着業務編をお送りします。
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グランドスタッフの到着業務について
到着業務とは、到着エリア(バゲージクレーム)での手荷物対応(チェックインバゲージがが届かない、破損している等の申告に対応)と、DLY対応(到着DLYが発生した際、遅延証明書を配布や場合によってはタクシー案内等)がメインです。
詳細は、上のリンクをご参照ください。
到着業務で受けるクレーム
バゲージの未着に対するクレーム
チェックインバゲージ(預け荷物)が届かないという事象が、到着業務では度々(エアラインによってはしばしば)発生します。これを、グランドスタッフは「未着」と呼びます。
運悪く未着の当事者となってしまったPAXは、グランドスタッフがお願いする所定の書類への記入作業を行い、バゲージがフォワード(別便で当該のバゲージが送られてくること)されてくるのを待ちます。到着次第宅急便でPAX宅に送付します。
PAXが怒らずに淡々と書類に記入をしてくれ、帰宅してくれれば、別に何ということもない業務です。しかし、問題はPAXの感情が爆発するケースがあるということです。
私も何度か経験があるのですが、未着になったケースで、当事者のPAXがヒートアップしていますケースがあります。
「どのように客の荷物を管理しているのか。」「明日お土産を職場で配るのに、届かないのは困る。どうしてくれるんだ。」という具合です。
さらっと一言釘を刺されるぐらいなら良いのですが、PAXによっては、非常にしつこく食い下がてくる人もいます。
私はグランドスタッフとして、東アジアのLCC2社と、東南アジアのFSC1社を担当していました。各社とも、それぞれ異なる国です。到着ハンドリングをしていて感じたのですが、やはり外国籍のPAXの方が、未着をはじめとするイレギュラーの発生に慣れている(寛容)と言えるます。
日本人PAXの方が、イレギュラー慣れしていないため、ハードクレームとなりがちです。東南アジアのFSCの場合、その国出身の方と日本人の夫婦という組み合わせがしばしばあったのですが、日本人の旦那さんがヒートアップして、その国出身の奥さんがなだめるといったシーンも度々ありました。
グランドスタッフの仕事は、国民性や人間性を見られる機会も多く、あらゆるタイプの人への対応力を養えます。やはり、色々意味で人が好きな人に向いていますね。
DLY(遅延についてのクレーム)
私が担当していた東南アジアのFSCは、到着時間が微妙(23:50)で、DLYなしのチェックインバゲージがなしでも、公共交通機関が使えるか使えないかといったギリギリのラインでした。
出発地である東南アジア某国の空港も混雑空港であり、ATC(航空管制)の都合で、微妙な(30分前後)DLYになることも多かったです。そもそも到着時間が微妙であるのに加え、そういった少しのDLYでも、あわよくばタクシー代を出させようと狙うPAXもいます。
タクシーを出してくれとか、出せないかといった問い合わせを受けることがありました。定時の到着でも公共交通機関での帰宅は微妙なところなので、はっきり言って便乗と言っても良いようなクレームがあったことも事実です。
やはり定時運行に慣れている、日本人PAXからのクレームが多かったです。
特にLCCでは、タイトな機材繰りを行い、1つの機体を可能な限り多く運用するスケジュールも多いです。従って、どこかでDLYすると、その後の運航スケジュールが崩れることになります。また、ATCや気象条件等の様々な影響を受けるため、完全な定時運航は難しい場合も多いのですね。ご利用の際はそうした事実を踏まえて、どうかご寛容に。
まとめ
到着業務は、こういったクレーム処理そのものが業務といっても過言ではありません。未着やDLYは、PAXとグランドスタッフの双方にとって、良くことは何もありません。
怒りたくなる気持ちもわかりますが、起こったことはもう仕方がありません。何かイレギュラーが発生したら、後からリカバリーするしかありません。未着なら、あとから荷物を送ってもらうといった対応ですね。
こんなときは、感情にまかせずにさっさと書類に記入して、しかるべき対応をしてもらい、帰宅するというのが一番の方法です。