プライベート機を悪用した事件

今回は過去に発生したプライベート機を悪用した事件と、それがプライベート機ハンドリングに及ぼした影響についてです。

プライベート機が使用された事件とは?

この事件について要約すると、マカオから那覇にプライベート機を使い移動する過程で、金塊112kgを隠して密輸し、本来なら納めるべき消費税を逃れようとしたとの概要です。

プライベート機は定期便と違い、運搬できるバゲージには制限がありません(物理的には、航空機に搭載できる重量は決まっていますが、定期便のように1個20kgまでという制限がないという意味です)。

このケースのように、大量の金塊を隠すことも可能になってしますわけです。しかし、到着時に関しては、通常はグラハンさんが機体からバゲージを搬出し、税関検査場に搬送するという流れです。

前回はフライトの到着直前、グランドハンドリングサービスの準備を整え、スポットでの待機というところまでお話しました。 スポットイン直前 ...

この流れについては、上記の当ブログ過去記事でお伝えしていますので、よろしければご一読ください。

ところが、何も知らないグラハンさんに金塊を運搬させるとなると、傷がついてしまうリスクもあり、大きさの割に重量が重くて不審さを抱かせる可能性が高いのではと私は思っています。よって、密輸を画策した運航会社は、運搬は自分たちでやると申し出たのでしょうか。

この事件がもたらした影響とは?

この事件の影響としては、プライベート・チャーターが駐機するスポットにおいて、税関職員が頻繁にパトロールするようになったことがまず第一に挙げられます

羽田や成田において、特にプライベート機の到着場面では税関職員が目を光らせるようになったとのこと。この事件が起こったのは、私の入社前だったので、これは先輩社員や上司から確認した話です。

以前の記事で、私が機体の輸入の立ち合いをした際、小さなものしか入らないような機内のスペースを、税関職員が隈なくチェックしていたエピソードをお伝えしました。

今回は私が経験した、機体の輸入立ち合い業務についてのお話です。 とある商社からの連絡 10月のある日、とある航空機の機体を輸入し...

これは言うまでもなく、このような事案に繋がらないか警戒してのことでしょう。

他のプライベート機の到着場面でも、税関職員から機内を確認させて欲しいと言われたことがあります。

また、航空機が出港する際に税関取締本部という部署に出向き、出港印というスタンプを押してもらう際にも、この事件の影響を実感しました。

出港印をもらう際、税関職員からこの機体のオーナーさんはどのような方で、どういった目的で来られているのか、という質問を受けることが度々あったからです。

定期便でも、違法なものを密輸しようとするPAXはしばしばおり、ニュースでも報道されることがありますね。しかし、プライベート機を利用すると、定期便とは比較にならない大量な物品を密輸できる可能性があるということです。

まとめ

元グランドスタッフや一航空ファンの私としては、航空機を悪用するという事実は決して許せません。そういった目的のためにプライベート・チャーター機が使用されるというのは、非常に悲しいですね。今は税関さんが厳格にパトロール中ですので、こういった事案はすぐに摘発されてしまうでしょうし、これ以上発生しないことを強く願うばかりです。