プライベート・チャーター機のハンドラーとして勤務することのメリットに、地方空港でのハンドリングも経験できることが挙げられます。
私が以前勤務したのは、HNDとNRTを中心として業務を行っている会社でしたが、顧客のリクエスト次第で、地方空港への出張をしてハンドリングを実施していました。
もちろん、ハンドリングを行う空港への交通費は実費を請求することになります。
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地方空港を利用する際の注意点
関空をはじめ、福岡、北九州、熊本、鹿児島といったあらゆる地方空港への発着リクエストがりあります。
ただ、それらの空港は運用時間も短く、発着は日中の時間に限られることがほとんどです。地方空港でのハンドリングリクエストが入った場合、まずはPAXがリクエストする時間が、空港の運用時間の範囲内に収まっているか、という点が最も重要なポイントになります。
各空港の運用時間を調べるためには、以下のAIS JAPANという国土交通省が運用しているデータベースを使用します。ちなみにこのデータベースは、登録が必要ですが、誰でも無料で使用が可能です。
例えば熊本空港の場合は以下のような情報が記載されています。
RJFT AD OPERATIONAL HOURS
AD Administration 2230 – 1230
Customs and immigration
Customs: 2330-0815
Immigration: INTL SKED FLT hours onlyHealth and sanitation Quarantine(human): (MON-WED,FRI,SAT)0000-0830
(THU,SUN)2315-0745
Quarantine(animal, plant): INTL SKED FLT hours only
AIS JAPAN RJFT(熊本空港)より
これを一つずつ読み解いていきます。
AD Administration 2230 – 1230
これは、空港の運用時間を表示しています。ここで表示されている時刻は、協定世界時(UTC)といい、これに9時間プラスすると、日本時間(JST)になります。
2230UTCは、0730JSTとなりますので、朝の0730。1230UTCは2130JSTとなります。
Customs and immigration
Customs: 2330-0815
Immigration: INTL SKED FLT hours only
これは、税関や入管の対応可能時間を表します。
まずは税関の対応時間ですが、UTCからJSTに変更すると、0830JST-1815JSTとなりますので、ほぼ日中時間帯となります。そして、次の行に、Immigration: INTL SKED FLT hours onlyとの記載があります。これは、入管は国際線定期便の運航時間に限るという意味です。
地方空港でのハンドリング手順
1.スロットならびにスポットを確保し、CIQさんの対応可否を確認する
リクエストがあった際は、まずはスロットならびにスポットを抑えるのは他の空港と同じで、鉄則です。
空港使用計画書という書類を提出し、発着ならびに駐機許可を航空局より取得します。それと並行して、CIQさんにもその時間で対応可能かという打診をします。
地方空港のCIQさんは、定期便が運航していない時間帯に対応を求めることはすなわち、残業を要求することになります。そのような背景があるため、あるCIQ職員さんの談によれば、空港の運用時間内でも、なるべく定期便と離れていない時間が良いけれども、プライベート・チャーター機が飛来するとなれば、CIQ対応は必須のため、嫌とは言えないという本音だそうです。確かに自分がその立場だったら、残業はできればしたくありません。
CIQさんの対応がokであれば、運航計画書という書類を送付します。運航計画書には、便名、運航会社、運航時刻、乗員乗客の氏名ならびにパスポート番号等を記載します。
2.グランドハンドリングを手配する
次に、グランドハンドリングの手配に入ります。ここでも注意すべき点があります。
それは、希望しているサービスが実施できるか否かです。ここでのサービスとは、グランドハンドリングの各種作業を意味します。
LAV(トイレの汚水処理)、WAT(機内の飲料水補充)、ケータリングといったものですね。これらのサービスの中で、空港によっては実施できないものもあるので、必ず確認し、運航会社に伝達する必要があります。例えばLAV、WATが実施できないなら、その空港への運航をやめようかということも実際にあります。
なお、プライベート・チャーター機のハンドリング会社は、地方空港のハンドリング会社と業務契約を結んでいます。地方空港出張は、そういったグラハン会社の方々に誘導して頂いて行います。自分のホームベースの空港ではないため、出発や到着動線についても良く知らないことが多いです。
制限エリアに入るランプパスについても所持していないため、ビジターパスという臨時のパスを発行してもらい、ハンドリングします。すごくアウェイで、緊張感がありますw
出張する側のこちらは、グラハンさん指示を出して作業のスーパーバイズを行うという、REPの役割を担います。
その後のハンドリング手順は、一般的なプライベート機のものと同じです。
まとめ
地方空港でのハンドリングは、動線もよくわからないため、完全にアウェイの環境です。REPという、運航会社の代理の立場で一人で出張というのは、とても緊張感があります。
私はハンドリング終了後、帰りの飛行機に乗る前に一杯やるのが恒例でした。ハンドリング終了後、羽田に戻るフライトまでは時間がないことが多かったですが、その地方の名産物をお土産に買ったり、お酒を飲んだりと、束の間の観光気分を味わうのが楽しかったです。