プッシュバックの必要性と自走IN/OUTスポット

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プッシュバックはなぜ必要なのか?

航空機は、実はバックすることができます(逆噴射機能を使用)。しかし、航空機は車と違って、後方を見ることができないですし、基本的は行われません。

※トーイングカーを使わずプッシュバックすることを、パワーバックと言います。下記動画で、パワーバックの実例が見られます。

そこで航空機は出発時、プッシュバックを行います。プッシュバックは、トーイングカーを使用し、航空機を後ろ向きに押し、航空機が自力で前進できる位置までけん引した後、トーイングカーを切り離してから、自走します。

トーイングカーに接続される、航空機。

羽田や成田といった主要空港でも、プッシュバックは日常の光景ですね。航空機の出発時には、欠かせない作業です。

プッシュバックが不要なスポットがある?

しかし、プッシュバックが不要なスポットもあります(私の以前の職場では、自走IN/OUTスポットと呼んでいました)。自力でタキシングしてスポットに入り、自力で(トーイングカーを使わず)、スポットアウトできるのです。こうしたスポットは、茨城空港にあるものが有名です。

プライベート・チャーター機ハンドリングでの自走IN/OUTスポットの重要性

プライベート・チャーター機ハンドリングでも、こうしたスポットは非常に重要です。それは、こうしたフライト(不定期便)をハンドリングする会社は、トーイングカーを持っていないことが多いことに、理由があります。プッシュバック作業を外注するので、コストがかかるのです。

つまり、自力でスポットイン、アウトができれば、それだけコスト削減になります。そして、他の会社に依存しないでハンドリングできる要素が増えますので、時間変更も柔軟にできる可能性が高まります。

※外注先のハンドリング会社は、定期便をハンドリングしているので、定期便と輻輳(重なる)する時間は、プライベート・チャーター機の対応ができないことが、特に地方空港では多いのです。

スイスポート社のトーイングカー。トーイングは専門の技能を持ったスタッフも必要ですし、コストがかかります。

ちなみに自走IN/OUTスポットは、茨城空港以外の空港にもあります。しかし、常時自走IN/OUTできるというわけではありません。前後のスポットに他の航空機がいない、といった条件が課せられたりします。

まとめ

ハンドリングコストにも影響する、プッシュバックの話題でした。私がプライベート機ハンドラー時代、特に地方空港では、自走IN/OUTスポットかどうか、よく確認していたのを覚えています。自走IN/OUTは、フライトに関わる人たちにとって、最も理想的な運用ですね。

※アイキャッチ画像ならびに本文画像は、無料画像Pixabay(https://pixabay.com/ja/)からお借りしました。