プライベート・チャーター機ハンドリングに携わるメリットや楽しみとは?

今回は、プライベート・チャーター機ハンドリングをしていて、私が良かったと思ったことや、楽しみを感じられた場面についてお伝えします。

グランドスタッフ業務の楽しさ、醍醐味とは。

ちなみに以前上記の記事で、定期便グランドスタッフとして働く楽しさについてお伝えしました。現在定期便グランドスタッフとして働くか、プライベート・チャーター機ハンドラーとして働くか迷っている方は、上記記事も合わせてお読みいただければと思います。

カンタス航空B747についての余談

余談ですが本記事のアイキャッチ画像として使用しているのは、羽田空港に駐機中のカンタス航空のB747-400です。

QF(カンタス航空)B747-400

2020年末までに退役を予定している、B747-400(画質が悪く、申し訳ありません…)

下の写真は、ある夏の通勤途中撮影したものです。天空橋駅から歩いてすぐの場所で、毎日見ることが出来ました。毎朝HNDに早朝到着し、22時頃SYDに向けて出発するまで、この場所で昼寝しています。このスポットは900番台スポットと呼ばれ、オーバーナイトスポット(夜間駐機用スポット)と言われる場所です。

この機体は元々、今年末に退役を予定していましたが、2020年3月30日より、A330に小型化されています。

https://www.aviationwire.jp/archives/197672

Aviation Wire カンタス航空、羽田のジャンボ小型化 9月までA330に

9月末までとのことですが、そのまま新型機のB787に置き換えられてしまうのでと心配しています。羽田への通勤時、毎朝見かける相棒のような存在で、とても愛着があります。

私自身はカンタス航空に乗ったことがないのですが、この機体が退役する前に今一度記念撮影を兼ねて見送りに行きたいと考えています。

さて、余談が長くなりましたが、本題に入ります。

プライベート・チャータ機ハンドリングのメリット

1.様々な運航会社の、様々な種類のハンドリングに関わることができる

定期便をハンドリングしている会社でも、大手ハンドリング会社であれば同じようなメリットがあります。しかし、プライベート機の場合は更にハンドリングする会社は多岐に渡ります。

患者搬送便や外交機といった特殊なフライトもあり、様々な種類のフライトが経験できます。プライベート機はもちろん、エアラインのテクランなどのハンドリングもあります。

前回の記事で、テクニカルランディング(定期便とプライベート機)について、お話ししました。 今回はある東南アジアのエアラインから、突然の...

私も、プライベート・チャーター機ハンドリング会社時代、エアラインからの依頼でハンドリングしたことも。大変な夜でした。

これまでハンドリングしたことのない会社から、ハンドリング依頼があることもしばしばです。その場合は、その会社の支払い能力も見極める必要がありますので、難しい場面もあります。プライベート・チャーター機のハンドリング会社は、弱小会社が多いです。私が在籍していた会社でも、新規ににハンドリングした会社から、支払いが滞ったことがあるとか。現地まで取り立てに行ったというエピソードも聞きました。

2.様々な機体を見ることができる

1番に関連するのですが、ハンドリングする機体も多岐に渡ります。GLF(ガルフストリーム)やGLEX(Global Express)という機体を、プライベート機の世界では多く目にする機会があります。しかし、他にもBBJ(Boeing Business Jet)と呼ばれる、B737のビジネスジェット版、B787のビジネスジェット版もあります。

外交機として使用される機体には、古い機体、珍しい機体も多くあります。

定期便をハンドリングする場合、毎回同じ機種と遭遇しますが、プライベート・チャーター機の場合は、毎回異なりますので、ハンドリングの度に新鮮です。

正直、私のような航空機マニアにはたまらない業務ですw

3.様々な種類の業務に携わることができる

定期便のハンドリングの場合、旅客、オペレーション、グラハンと分担が細分化されています。自分の担当でない業務に関しては、どうしても知識が薄くなりがちです。

しかし、プライベート・チャーター機ハンドラーの場合、旅客、オペレーション、グラハン全ての要素に関わることになります。

具体的には、以下の通りです。

旅客業務

PAXやCREWのアテンド

オペレーション

FLT PLN(フライトプラン)のファイル

NOTAM、TAF、METARといった気象情報のCREWへの提供

グラハン

バゲージの搬送、LAV、WATといった作業のスーパーバイズ

私もプライベート・チャーター機ハンドラーに転職してから、特にオペレーション分野の知識がないことで、少し苦戦しました。定期便の旅客グランドスタッフ時代、元グラハンの同僚に教えてもらったおかげで、グラハンについては少し知識はあったのですが、オペレーションの分野は知りませんでした。

FLT PLNは、運航会社からメールで送付されてきます。それを、CAB(航空局)にFAXでさらに送付し、フライト前にファイル作業をしてもらいます。

ファイルしてくれるのは、航空管制運航情報官という部署です。単にFAXで送るだけでは?と思われるかもしれませんが、そこに罠があります。

実はハンドラー側でも送付前に、FLT PLNが正しく記述されているかチェックする必要があります。誤っているとCABから指摘され、訂正する必要があります。FLT PLNについて多少の知識がないと、訂正ができなくなってしまい、フライト前に時間がない場合は特に焦りを招く要因となります。

このように幅広い知識が求められることも、航空機のオペレーションに詳しくなれる良いきっかけだと思います。私の場合、そこに楽しみを見出すことができました。

まとめ

プライベート・チャーター機のハンドリングは、前述の通り業務の範囲が非常に広いこともあり、大変な場面も多くあります。知識を要求されますが、それを楽しむことができれば、大きな醍醐味や楽しさを感じることがきると私は思います。

私はこの業務を通して、オペレーションの分野に興味を持ちました。FLT PLNや気象情報など、旅客グランドスタッフ時代には知らなかった世界を見ることとなり、空港を離れた現在も、今後この分野をより深く勉強しようかと考えているぐらいです。

一口に航空機のハンドリングといっても、業務は多岐にわたり、自分が知っているのはその中のほんの僅かな部分なんだなと痛感させられた瞬間でもありました。