プライベート・チャーター機の駐機制限回避

プライベート・チャーター機は、スロット、スポットを運航の度に取得するという点が、定期便と大きく異なる部分だとこれまでの記事でお伝えしました。

スポットは航空機の駐機場所で、車で言えば、駐車場に該当します。

各空港には、駐機制限があります。

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空港の駐機制限

例えば、

羽田空港 HND(RJTT) 4泊5日

成田空港 NRT(RJAA) 最大30日間

といった具合です。

特に羽田空港は都心部に近く、プライベート・チャーター機で東京に来たいと思う方々は、当然羽田のほうが良いと思うでしょう(定期便のPAXも同じだと思います)。

ですが、皆考えることは同じですので、羽田空港のスロット、スポット取得は倍率が高いです。そこで、CAB(国土交通省航空局)は、多くの人が羽田空港にプライベート・チャーター機で発着ができるよう、駐機日数に制限を設けています。

PAX搭乗・降機の際は、こうした赤いカーペットを敷いていました。

しかし、羽田は混雑空港で、4泊5日ステイすることも難しい場合が多いです。商用で海外から東京に来る場合、それ以上の日数が必要な場合も当然あると思います。

それでは、中国のプライベート機オーナーが東京での商用ため、自己所有の中国籍の機体を利用し、10日間滞在したいという場合、どのようなオプションが考えられるのか見てみましょう。

駐機制限があるがどうするか?

10日間の滞在に対し、羽田の駐機制限は4泊5日の制限では当然足りません。

この場合、以下の2つのオプションがあります。

  • 成田空港のみを利用する。
  • 到着時、出発時のみ羽田空港を利用し、機体の駐機は成田空港で行う。

各オプションのメリット、デメリットについても見ていきましょう。

成田空港のみを利用する

この方法のメリットは、何と言っても、スロットならびにスポットの取得が羽田に比較して容易という点です。

デメリットは、都心部からの距離と時間です。成田空港から車で、1時間半は必要ですね。この距離と時間を嫌がるプライベート機オーナー、チャーター主も多いです。

到着時、出発時のみ羽田空港を利用し、機体の駐機は成田空港で行う(リポジション、略してリポジ)

リポジションのメリットは、PAXが羽田空港で降機、搭乗できることです。

到着時PAXは羽田で降機し、機体は成田にフェリー(PAXが搭乗していない状態で、機体のみを他空港に移動させること)します。出発時は成田から機体を羽田にフェリーします。そこでPAXが搭乗し、出発です。

デメリットは、運航コストです。グラハンサービス(マーシャリング、チョーキング)が、羽田と成田の両方で必要となります。CREWにとっても、離着陸の手間が1セット増えますので、大変かと思います。

もう一つのデメリットは、羽田-成田の運航スロット、成田-羽田の運航スロットを取得し、更に機体が外国籍の場合(今回の場合は中国籍)、国内区間のみを運航する場合、特別な運航許可が必要となる点です。

これを航空法第127条による外国航空機の航行の許可(外国籍航空機の国内移動許可)といいます。

このルールが存在する理由は、国内航空産業の保護だと言われています。

例えば、中国の航空会社が運航する中国籍の機体が、国内区間の羽田-福岡を乗客を乗せて運航していたら、日本の航空会社が国内線の運航において、他国の航空会社と競合する事態が発生します。

こうした事態を避けるために、航空法127条があります。

今回は、航空法第127条についての話題です。 航空法第127条とは? 航空法第127条 (外国航空機の国内使用) 外国の国籍を有する航...

この許可(私の勤務していた会社では、国内移動と呼んでいました)を申請するリミットは、運航期日の3日前までです。しかも、国土交通省本省への申請が必要となります。

運航スロットの変更がある場合でも、運航の24時間前までに、当然申請が必要となります。

この許可を得るのも、時間がかかるというデメリットがあります。

まとめ

プライベート・チャーター機ハンドラーは、あらゆる手を尽くして、PAX(プライベート機オーナー、チャーター主)の利便性を確保します。時にはリポジションのプランを組んだりして、とにかく調整の嵐です。

あらゆる関係各所と調整し、PAXのリクエストに最大限応えるための努力が求められます。今回お話した、駐機制限回避のための方法もその一環と言えます。

プライベート・チャーター機のハンドリングは、一見華やかなイメージがありますが、裏側は地味な調整ばかりです。

しかし、あらゆる調整が完全にでき、スムーズなハンドリングが出来たときは、大きな達成感を覚えた記憶は、未だに鮮明です。

※本文画像は、無料画像のPixabay (https://pixabay.com/ja/)よりお借りしました。