前回の記事では、プライベート機ハンドリングの出発業務について、シップ作業が完了し、PAXをお迎えする準備が出来るところまで、お話しました。
燃料、ケータリング、機内の備品セット等の作業を行う流れは、定期便のハンドリングと基本的には同じです。
PAXのSHOW UP
最後にPAXが出発時間に合わせて、空港にSHOW UPします。
※ここではPAXが定期便PAXと同じ、一般ターミナルを使用すると仮定します。
タクシー、ハイヤーといった車両の担当ドライバーの電話番号を出発前に予め確認しておきます。そして、PAXが滞在先のホテル等を出発したタイミングなどでまずはハンドラーに電話してもらうよう、依頼します。その際、概ねのETAを聞いておきます。
次に、空港近く高速の特定の出口を降りたタイミングなどで電話してもらいます。ハンドラーはそれに合わせて、空港のタクシー、ハイヤー降り場で、PAXをお迎えします。
ここで、グラハンスタッフが、PAXのバゲージをお預かりし、一足先にシップまで搬送します。
PAXの保安検査、イミグレーション通過
ハンドラーがPAXをアテンドし、保安検査場にお連れします。定期便のPAXの場合、ここではパスポートとBP(搭乗券)を保安検査員に提示して通過します。
しかし、プライベート機にはBPがないため、ランプパスを所持したハンドラーがPAXリストであるPMを提示し、プライベート機の乗客であるという証明を行います。
イミグレーション通過時も同様に、ハンドラーがPMを入国審査官に提示します。
イミグレーションを通過すると、PAXによっては免税店に立ち寄ったりします。免税店でも、会計時にハンドラーが立ち会い、免税店員に、プライベート機の乗客である旨の証明が必要となります。
免税店も、プライベート機の乗客には慣れていないことが多く、少し時間がかかることが多いです。定期便のPAXだと、BPで便名の確認は容易なのですが、プライベート機はそれができないためです。プライベート機の便名を、レジ端末にどう入力するかという点で、戸惑うことも多いようです。
シップへのアテンド
免税店での買い物が終了したら、いよいよシップへと向かいます。通常はランプバス(定期便PAXも利用する、ターミナルから沖止めスポットへ向かうためのバス)を手配し、ハンドラーとPAXが乗り込み、シップに向かいます。
羽田空港の場合、プライベート機が駐機しているエリアは、N地区と呼ばれています。第3ターミナルから、ここまでは10分はかかります。
PAXがボーディングし、準備が出来たらドアクローズします。
出発
ドアクローズ後、ATCへ出発許可を取り、許可を取得次第、ブロックアウトとなります。ブロックアウトまでスポット近くでスタンバイし、ブロックアウト後、到着空港のハンドラーに、MVTという、ETAやCREW、PAX、バゲージ数を記載したメールを送信します。
最後は、CI(税関とイミグレーション)に、出発時刻を報告して完了です。
まとめ
手順を見てみると、定期便と基本的には一緒だということが、お分りいただけたでしょうか。
プライベート機ハンドラーは、旅客グランドスタッフのようにPAXにも関わりますし、グランドスタッフに近い作業もします。そして、スロット、スポットの調整といった、航務(オペレーション)のような要素もあります。
上記のように、様々な性質のタスクがあり、大変なときもありますが、それもプライベート機ハンドリングの醍醐味だと、私は考えています。