前回に引き続き、プライベート・チャーター機のハンドリング手順についてです。
前回まではフライトのリクエストを受け、スロットならびにスポットを取得し、CIQへの運航スケジュール方向、グランドハンドリングの各種を手配するという段階までご説明しました。
今回は到着時のハンドリングについて見てみましょう。ちなみに今回は定期旅客便と同じ、
プライベート機到着時ハンドリング手順
担当便(中国国籍機、B1234とします)のスロットは、機体オーナーのリクエスト通り、以下のように決定したとします。
※上記のハンドリング編(1)をご参照ください。
ETD ZBAA 20MAR 0000Z(0900JST) to RJTT
ETA RJTT 20MAR 0400Z(1300JST) from ZBAA
現地運航支援会社からのMVT
さて、ZBAA(北京)でのハンドリングを担当するハンドラー(運航支援会社またはプハンドリング会社)から、MVT(Movement)がメールで送信されてきました。MVTというのは、航空機の実際の出発時刻、到着予定時刻といった情報を出発空港担当ハンドラーが、到着空港のハンドラーに向けて送信するものです。
※定期便にも同様のものがあり、ATD、ETA、CREWならびにPAX数、バゲージ個数といった情報が記載されています。
上にも同じようにZBAA、RJTTという記載がありますが、異なっているのはATDという項目です。ATDは実際にそのフライトが出発した時刻です。
///MVT///
ATD ZBAA 20MAR 0020Z (0920JST)to RJTT
ETA RJTT 20MAR 0420Z from ZBAA
CREW:3 PAX:5 BG:10
北京首都国際空港は多くのフライトで混雑しており、ATC(航空管制)の指示で出発が20分程遅れたとのことです。当然、ETAも遅れることとなります。
現地のハンドラーは、事前にCREWやPAXリストをこちらに送付してくれ、これをCIQ各所に事前に報告します。しかし実際にそのフライトが出発し、MVTが送付されてくると、PAXが増えていたり、減っていたりということもあります。
そういった場合、最新のGD(General Declarationの略、CREWリスト)、PM(Passenger Manifest の略、PAXリスト)をCIQに再度送付する必要があります。
ETAが判明したら、どんな作業が必要か?
上記のMVTが来たら、ETAがわかります。
このETAを、CIQ各所(税関、入管、検疫)に通報します。ETAと便名(プライベート機は機体の登録記号で呼ぶ場合が多いです。)、スポット番号を伝達します。
その後、グランドハンドリングを依頼した、各社にも同様に伝達します。便名、ETA、スポット番号を正確に伝えます。
このフライトでは到着時、マーシャリング、チョーキング、LAV(トイレ汚水処理)、FUEL(燃料)、ケータリング取り卸し(ごみ処理)、ランプバス(PAX用)を依頼したこととしましょう。
LAVはA社、FUELはB社、ケータリングはC社、ランプバスはD社というように、各サービスを異なる会社に依頼をしています。
各社はこちらから連絡しないと、ETAを知ることができません。定期便の場合は、Flightradar24というアプリで、ETA、運航情報を知ることができますが、プライベート機の場合は表示されないことも多いです。
※プライベート機は、オーナーの希望でFlightradar24に表示されないように依頼することができます。世界中に自身の機体の動きを逐一把握されてしまうと、不都合なことも発生してしまうと思います。
ターミナルでGD・PM配布後、シップサイドへ
到着が迫ったら、ターミナルへ向かいます。CIQ各所へ、プリントしたGDとPMを配布していきます。この作業は、ETAの60分前を目安に完了させる必要があります。
GD・PMの配布が終わったら、いよいよシップサイドへ向かいます。プライベート・チャーター機のハンドラーは、ハイエース等の車両を複数台所持しており、それらの車両でターミナルとスポットを移動します。
※プライベート・チャーター機のハンドリングに関わりたい方は、普通自動車免許の取得は必須です。しかも、ハンドリングに使用する車両は乗用車より大きいので、運転にも慎重さが求められます。
前述のように、プライベート・チャーター機はFlightradar24のアプリに映らない場合も多いので、航空無線を受信できる無線機を持っていきます。
到着予定のスポット付近で車両を待機させ、グランドハンドリング担当各社と共に到着までスタンバイします。
プライベート機到着業務 後編に続きます。