以前当ブログの過去記事で、一般ターミナルを使用したプライベート・チャーター機のハンドリング手順についてお話しました。
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BJターミナルとは?
今回は、BJターミナル(ビジネスジェット専用ターミナル)を使用したハンドリングについてです。BJターミナルは、プライベート・チャーター機(外交機)のみが使用できるターミナルで、日本の空港ではHND、NRT、KIXのみに存在します。
ターミナル自体のご紹介は、上記の記事でしましたので、ここでは詳細を割愛します。
BJターミナルでのハンドリング手順
基本的な手順は一般ターミナル使用時と同様となります。スロットならびにスポットを航空局から取得し、必要なグランドハンドリングサービスを手配します(FUEL、LAV、WAT、ケータリング)。そして、当該フライトCIQに運航計画書を送付します。運航計画書とは、運航会社名、機体の登録記号、発着予定時刻、CREWやPAXの氏名やパスポート番号を記載した書類です。
一般ターミナルでのハンドリングと異なる点は?
異なるのはBJターミナルの使用にあたり、申込書を送付することがあるのと、それに伴い運航計画書の送付箇所が増えることです。もちろん、スロットが変更になる度に、BJターミナルにも通報する必要があります。
また羽田空港においては、BJターミナル使用時に限り、ターミナル前スポット(主に123番)を使用できるのもポイントです(もちろん当該スポットが空いているという条件付きですが)。123番スポットは、BJターミナルから車両で2分程で非常に利便性が高いです。123番スポットは、到着時、出発時の各1時間しか使用できないという制約があります。123番スポットは、PAXの乗降のみを行い、出発時までずっと駐機できるというわけではありません。
それでは、123番スポットを使用したハンドリングについて、見ていきましょう。
到着編
現地のハンドリング会社からETAの連絡が入った時点で、CIQにこれを通報します。BJターミナルにも同様に行います。到着1時間前までには、GDやPMをCIQ関係個所に配布します。このとき、CIQにはBJターミナルでスタンバイして欲しい時刻を伝達します。PAXがターミナルから乗車する車両のドライバーにも、到着の旨をコンタクトします。
この後保安区域に入ることになりますので、ハンドラーはここで保安検査を受けます。その後BJターミナルを抜け、シップサイドに向かいます。前述のように、BJターミナルから123番スポットまでは2分程です。
機体が123番スポットにブロックインしたら、航空局とCIQ関係各所に到着時刻を電話で通報します。同様にBJターミナルにも通報を行います。MVT(ムーブメント)と呼ばれる、機体が到着しましたという情報についても、メールで運航会社または出発地のハンドラーに送信します。
これが終了すると、PAXをアテンドして車両でBJターミナルに向かいます。ここで注意が必要なのは、PAXのバゲージは、PAX車両よりも先発し、一足先にBJターミナルに到着させることです。ターミナルにはCIQがスタンバイしているので、PAXの入国審査や検査を行いすぐに入国出来ます。ターミナル前の車両にPAXが乗車し、出発。これをお見送りしてPAXケアは終了です。
シップには、シップ作業担当のハンドラーが残ります。前述のように、123番スポットはあくまでPAXの乗降のみをするためのものです。PAXが降機して準備ができたら、N地区という駐機スポットに向かいます。123番⇔N地区間の移動を、リポジション(略してリポジ)を呼びます。
123番スポットをブロックアウト後、N地区の駐機スポットにブロックインしたら、再度航空局とCIQに通報します。ブロックイン後、FUELやLAV、ケータリングの取り卸し(ごみ処理、洗浄がある食器類の取り卸し)といった一連のグラハン作業を実施します。終了後、CREWをターミナルに送迎します。
駐機スポットをターミナルに向けて出発する前に、CIQにターミナルへのETAを通報します。CREW用車両のドライバーにも、連絡を済ませます。到着後はCREW用レーンに進んで入国、税関構内を抜けて入国完了です。
CREW用に手配した車両にアテンドして見送り、CREWケアも終了となります。
こういった現場での連絡は、全てメールと電話で行います。定期便に比べてシステムもなく、アナログですが、逆に言えば航空機のハンドリングは、そういった手段があれば充分可能なのです。プライベート機・チャーター機のハンドリングは自動化しにくい部分が多々あり、これからの時代も手堅い業務だと私は考えています。
到着編は以上です。次回の記事で、出発編をお送りします。