トーバーとトーヘッド

トーイングカーは、出発時に航空機をスポットからプッシュバックする、またはあるスポットから別のスポットへ移動する際に使用します。

トーバーとトーヘッドは、トーイングカーと航空機を接続するパーツです。

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トーバーとトーヘッドはどのような形をしている?

形状については、以下のリンク先が分かりやすいです。

トーバーの一例。 ※画像は上記リンク(aerospecialities)より転載しました。

トーヘッドの一例。 ※画像は上記リンク(aerospecialities)より転載しました。

航空機とトーイングカーの接続状況は以下のようになっています。

(航空機)ー(トーヘッド)ー(トーバー)ー(トーイングカー)

定期便として飛来するエアラインは、機種が限定されており、各エアラインもしくはハンドリング会社は、これに対応した機材を保有しています。

適合性に注意しなければならないプライベート・チャーター機

前述のように、定期便ハンドリングにおいては、機種が一定の範囲内のため、トーバー・トーヘッドの適合性が問題となることはありません。

しかし、プライベート・チャーター機ハンドリングでは、機種は多岐に渡ります。そこで、飛来する航空機に適合するトーバー・トーヘッドが調達できるかという点のチェックが必須です。

プライベート・チャーター機のハンドリング会社は、プッシュバック、トーイングやグラハン作業は、別会社に委託する場合が多いです(トーイングカーを保有している会社もありますが)。グラハン会社に業務依頼書を送付した時点で、グラハン会社の担当が適合性をチェックしてくれます。

もちろん、そのグラハン会社が保有しているトーバー・トーヘッドが、ハンドリング予定の機材と適合しないと明らかに分かっている場合、事前に調達作業を行います。

トーバー・トーヘッドの調達方法

しかし、調達といっても、どのような方法があるのでしょうか。

答えは至って簡単で、それを保有している同業他社に頼むという方法です。ハンドラー用の車両(ハイエース等)に乗って、同業他社のオフィスに行き、借り出して車両に搭載し、持ってくる。それだけですw

調達という用語は大袈裟かもしれません。しかし、この方法にも欠点があります。それは、同業他社でそのトーバー・トーヘッドを使用する機材が飛来する際はもちろん使用できないことです。

私の在籍していた会社でも、こういった事態が起こったことがありました。その後、借り出しトーバーを使用しなければならない機材のハンドリング依頼が頻繁に来るようになったため、適合するトーバーとトーヘッドを自社で購入することになりました。

トーバー・トーヘッドの扱いが問題になった事例

私が過去に経験したハンドリングで、かなり珍しい機材が飛来したことがありました。適合するトーバー・トーヘッドがこちらには一切なかったのです。

出発時は当然プッシュバックが必要になり、トーバー・トーヘッドは必須です。どうするかが議論となりました。

運航者が提案した手段は、プッシュバックをした後、トーバー・トーヘッドを回収して、機体に搭載して出発するというものです。しかし、関係箇所から許可が出ず、結局は現地に送るという手段を取ったそうです。

トーバー・トーヘッドを常に持ち運んでいる機体がある?

トーバー・トーヘッドは通常、エアラインやハンドリング会社が保有し、空港に置いてあるというのが普通です。

しかし、例外もあります。それは、世界最大の輸送機である、アントノフです。アントノフは運航先の空港において、適合するトーバー・トーヘッドを用意することが難しいため、常に機体にこれを搭載しているそうです。

上記のZari-G2 channelさんで、実際にその様子を見ることができます。

私も成田でハンドリングした際、この機体を見ることが何度かあり、その大きさに圧倒されました。トーバー・トーヘッドはいつも成田に備えてあるのかと思っていましたが、上記動画でこの事実を知り、驚きでした。

出発プッシュバックをした後は、これを回収して機体に再度搭載してから出発するとのこと。こうしたハンドリングはOKなのに、私の担当便がNGだった経緯は不明ですw

まとめ

定期便グランドスタッフ時代は気にしたこともなかったトーバー・トーヘッド。プラベート・チャーター機ハンドリングにおいては、グラハン機材や機体の特徴といった要素についての知識が求められることも多いです。

ハンドリングには、言わば総合的な航空力が必要です。プライベート・チャーター機ハンドラーは、アレンジやコーディネートが業務の真髄です。円滑なハンドリングの実施のために、幅広い知識を持ち、適切な機材を手配するということが、とても重要となってきます。

私は現在空港業務を離れていますが、航空ブロガーとしてこういった知識を更に拡充し、読者の皆さんにご紹介できればと思っています。