プライベート機ハンドリング編 スロットとスポットの取得 CIQ

前回のプライベート機・チャーター機ハンドリング編(1)続きです。

プライベート機オーナーから運航管理会社を経由して、発着希望時間にリクエストを受けるところまでを、前回ご説明しました。

発着枠(スロット)とスポット(駐機場所)の空き状況を照会し、取得する

機体オーナーからのリクエストを受けたら、次は国土交通省航空局(CAB)に発着枠の空きを照会し、発着枠を実際に確保するという作業が必要となります。

ここで使用するのが、空港使用計画書という書類です。

何日の何時に、空港に到着、出発したいというリクエストを記入し、航空局の担当部署(航空管制運航情報官)に送付します。送付が終わると、運航情報官が空き状況を確認し回答をくれます。

羽田空港や成田空港の場合、定期便が頻繁に運航されており、特に昼間の時間帯についてはリクエストが通らないことも多いです。

その場合は、リクエストに一番近い時間を教えてくれますが、近いといっても、かなり離れた時間のこともあります。

希望の発着枠があれば、そこで再度空港使用計画書を送り、スロットを確定します。

この作業が意外と厄介で、オーナーさんの希望とスロット、スポットの空き状況が一致しないと、とりあえず近い時間の枠を取っておき、適宜元のリクエストの時間の枠が空いていないか、照会を繰り返します。案外、空きがでたりしますので、運航管理会社は粘り強く、空きを照会するようにこちらに頼み続けてきます。

スロットはリクエスト通り取れるが、駐機スポットが取れないということも多々あります。そして、駐機スポットは取れるものの、出発まで何度もトーイングで他のスポットへの移動を繰り返さなければならないことも…

機体の大きさによって、駐機できるスポット、できないスポットもありますので、注意が必要です。スロット、スポットの空き状況を照会する際は、航空機の機種の情報も必須です。

スロット、スポット確保は、プライベート機・チャーター機のハンドリングで、最も大切な作業となります。スロット、スポットが確保されていれば、最低限の運航は可能です。確保できないと、運航自体が不可能になってしまいます。

当該空港に初飛来する機体については、以下の書類も必要となります。

Copy of Aircraft registration certificate(航空機の登録証明書のコピー)

Copy of airworthiness certificate (航空機の耐空証明書のコピー)

Copy of noise certificate which show actual noise level (航空機の騒音レベル証明書のコピー)

Any document which shows MTOW(最大離陸重量であるMTOWを証明できる書類)

定期便のハンドリングを行っているグランドスタッフは、行わない作業です。

CIQに運航計画書を送付する(国際線の場合)

スポット、スロットが確保できたら、何時何分にこの機体が発着しますという運航スケジュールを、CIQに送付する必要があります。

CIQはそれぞれ税関、入管、検疫です。詳細については、以下の過去記事をご覧ください。

グランドスタッフの研修で学ぶこととは、その2です。

CIQさんに対応して頂かないと、国際線フライトの運航は不可能です。

通常の定期旅客便と同じように、税関による検査、入管による入国審査、検疫によるサーモグラフィー等のチェックという手順が必要になるからです。

小規模の地方空港では、ほぼ09:00-17:00となり、それ以外の時間の対応は難しい場合が多いので、確認が必須です。

グランドハンドリングの手配を行う

次に、グランドハンドリング作業の手配を行います。これらの作業をサービスと呼びます。

プライベート・チャーター機のハンドリングにおいても、一般のエアラインのハンドリングで行われる作業と、基本的には同じグラハン作業が必要となります。

具体的には、以下のようなものです。

  • マーシャリング、チョーキング(スポットインした航空機が駐機中に動かないよう、木製の車輪止めを航空機の車輪にかませます。)
  • LAV(ラバトリー、トイレの汚水処理)、WAT(ウォーター、機内で使用する飲料水の補充)
  • 燃料補給
  • ケータリング手配
  • ランプバス手配(航空機からターミナルまでのPAXの移動手段)
  • 大型機であれば、バゲージを貨物室から搬入、搬出するためのベルトローダー、PAXが乗降するためのパッセンジャーステップ、GPU(地上電源装置)といった設備が必要になることがあります。

到着時

マーシャリング、チョーキングは必須、それに加えてLAV、燃料手配を希望するキャプテンが多いです。

到着時にLAV作業を行わないと、トイレに汚物が残ったままとなり、匂いが発生するそうです。燃料補給についても、時間を要するため、出発前よりも、到着時に済ませてしまいたいというりリクエストが多いです。

しかし、オーナーによっては次の目的地を変更する可能性がある場合もあります。目的地までの距離によって、必要とされる燃料の量は当然異なりますので、出発時に燃料を入れる場合あります。

出発時

出発時はWAT作業を行い、飲料水を補充します。そしてケータリング搭載も、ケータラーに依頼して行います。

そしてマーシャリングに似た、センダーという作業(スポットから出る際の誘導、安全確認)も行います。

到着、出発時にどんなサービスが必要かを確認するのも、非常に重要な作業です。

プライベート機・チャーター機ハンドリング編(3)に続きます。