アナログな紙ベースのプライベート・チャーター機ハンドリング

今回は、定期便旅客ハンドリングと異なり、とてもアナログなプライベート・チャーター機ハンドリングについてです。

定期便旅客業務では、AmadeusのAltea、SabreといったGDS(Global Distrubution System)を使用し、チェックインやゲート業務を行います。

しかし、プライベート・チャーター機の世界には、そんなシステムは存在しません。それではどうやって情報をやりとりしているのかという話題です。

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プライベート機ハンドリングで使う手段→メール・電話・FAX

まずは運航会社から、リクエストを受理します。ここで使うのは、メールです。

前回の記事では、プライベート・チャーター機のハンドリング会社への転職を決意したきっかけ等をお話ししました。 今後お送りするプライベート...

機体オーナーやチャーター主から、運航時間のリクエストを受理することからスタートするのは、以前の記事でもお伝えしました。

リクエストを基に、国土交通省航空局の運航情報官という部署に、スロットならびにスポットの申請をします。この際、使用するのはなんと電話やFAXです。相手はお役所なので、すごくアナログです。CIQさんにも、エクセルで作成した運航計画書をFAXで送付し、電話で受信確認をします。

海外とやりとりする手段は、基本的にメールです。それに対し国内の関係各所、各社についてはお役所は電話とFAX、グラハン会社はメールと電話です。

システムが存在しないプライベート・チャーター機業界

これまでご説明した通り、プライベート・チャーター機には定期便のようなシステムはありません。定期便を運航しているエアラインでは、チェックインシステムがあり、PAXのチェックイン、シートコントロール、バゲージの情報等を管理しています。

しかし、プライベート・チャーター機に関しては運航会社は小規模な会社が多く、エアライン業界のように、会社間での統率もありません。エアライン各社が使用するようなシステムを導入しても、採算が取れないでしょう。しかも、チェックインという概念自体がありませんので、意味がないと言えます。

そこで、運航に関わる情報は全てメール・電話・FAXというアナログな手段でやりとりする訳です。

アナログな連絡手段でハンドリングして気付いたこと

定期便の旅客グランドスタッフをしていた頃は、Alteaというシステムを主に使用して、ハンドリングを行っていました。PAXのパスポートをスワイプすれば、情報が即座に出てきて、スートマップをクリックしてシートアサイン。バゲージの情報も計量結果を入力すれば、ロードコントロールシステムに自動送信されます。

そういった便利なシステムは、プライベート・チャーター機業界には一切ありません。しかし、エクセルやブラウザーの入ったPCと、電話やFAXがあれば航空機のハンドリングはできるんだという事実に気づかされました。

システムに慣れていた私は、当初ストレスがたまることも多かったです。しかし、こういったアナログな手段、特にメールを使用して情報整理を行うスキルが飛躍的に伸びました。

システムなら自動的にやってくれる情報整理ですが、自らそれを行う必要があります。プライベート・チャーター機ハンドリング時代は、頭が鍛えられたと思って、感謝しています。

まとめ

プライベート・チャーター機業界に身を置き、エアラインしか知らなかった私は衝撃を受ける場面が多かったです。その一つに、「アナログさ」がありました。しかし、航空機のハンドリングにシステムはいらないという事実を強く実感し、将来自分でも小規模なハンドリング会社をやってみたいと今も考えています。

システムもGSE(航空機支援車両)も不要なプライベート・チャーター機ハンドリング会社は、夢があると言えますね。