これまでの記事では、プライベート・チャーター機、言わば不定期便のハンドリング手順についてご説明しました。
では、定期便とプライベート・チャーター便(不定期便フライト)には、どのような違いがあるのでしょうか。
- フライトスケジュールが決まっているか、いないか
- PBBの使用有無
- チェックインカウンターとBP(ボーディングパス)の使用有無
主に以上の点を挙げることができます。それでは、順番に見ていきましょう。
※ここでは、定期チャーター便、ITC(包括旅行チャーター便)は除外します。両者については、後の記事でご紹介しようと考えています。
1.フライトスケジュールが決まっているか、いないか
何といっても、定期便はスケジュールが日々決まっており、プライベート・チャーター便はそうではない。という点が一番大きな違いですね。
フライト毎に、スロットならびにスポットを確保が必要となります。その他、グランドハンドリングサービスについても、フライト毎にオーダーする必要があります。
フライトスケジュールの変更もしばしばあり、私がプライベート・チャーター機のハンドリングをしていた際も、大幅な時間変更に遭遇したことは多々あります。単に日時の変更だけでなく、目的地の変更すらあります。プライベート機は、フライト当日のキャンセルもあります。
チャーター機に関しては、フライトスケジュール変更についての制限があります。
プライベート機のメリットは、オーナーの希望する日時に、希望の空港に発着することができるという点です。ハンドラーもそれに合わせて動く必要があり、それが特に大変です。
定期便をハンドリングするなら、出勤時間はほぼ毎日一緒ですが、プライベート・チャーター機ハンドラーは毎日出勤時間が変わります。
2.PBBの使用有無
プライベート・チャーター機は、オープンスポットを使用する場合がほとんどです(私の成田、羽田でのハンドリング経験によると、ですが)。
通常定期便では、PBBスポットを使用することも多く、その場合ターミナルからボーディングブリッジを歩いて乗り込みますよね。
ターミナルからバスやハンドラーのハイエースといった車両で、直接スポットに行くというのが所定です。
3.チェックインカウンターとBP(ボーディングパス)の使用有無
定期便では、チェックインカウンターでチェックインを行い、バゲージを預け、BPを受け取るという手順を踏みます。
しかし、プライベート・チャーター機はチェックインもなければ、BPもありません。
PAXの出入国に際しては、ランプパスを所持したハンドラーがPAXをアテンドの上、PMという乗客リストを保安検査場で提示し、入管でもPMによって、プライベート・チャーター機のPAXであるという証明をします。
少し手間取ることがあるのは、プライベート・チャーター機のPAXが免税店でお買い物をされるときです。免税店では、パスポートとBPを会計時に店員に提示し、これから出国しますという証明をすることで、免税措置を受けられます。
しかし、プライベート・チャーター機にはBPがないため、免税店員にハンドラーがPAXであるという証明をします。
店員さんは、この事態に慣れていないことがほとんどです。マネージャーのような人を呼んで、レジ入力の際、フライトナンバーをどう入力をすればいいか確認することがほとんどです。お互いにちょっと大変な瞬間ですが、周囲の定期便のPAXがプライベート機???といった反応をしていたのが新鮮でした。
まとめ
一庶民からすると、チェックインカウンターもBPもないというのは、これから飛行機に乗るという気持ちを盛り上げてくれる要素に欠けるなーといったことを考えてしまいましたw
定期便のハンドリングから、航空業界に入った私としては、これらの要素がちょっと寂しいと思ってしまうこともありました。
しかしその反面、様々な種類のフライトをハンドリングでき、航空機を運航にあたって、どのような許可を取得する必要があるのか、という仕組みを知ることができたのは本当に良かったと思っています。