恐怖のGTB、ATB

今回は、グランドスタッフが最も嫌うもの、GTB(Ground Turn Back)、ATB(Air Turn Back)についてのお話です。

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GTB(Ground Turn Back)

GTBとは、航空機がプッシュバックし、タキシング(地上走行)を始めたにもかかわらず、何らかの理由で駐機スポットに引き返してくることをいいます。

GTBの原因は、機内で急病のPAXが発生したり、機体にトラブルが発生したりといった理由です。

2014年に発生したこの事件も、GTBに分類されるケースです。

私が経験した初のGTBは入社数か月後、担当便が無事プッシュバックしたのを見送り、オフィスに戻った瞬間でした。スーパーバイザーから「××便戻ってきたよ。」と言われ、ゲートに戻りました。さっき見送ったばかりの出発便を搭乗ゲートで出迎えるとは、非常に複雑な気分です。

滑走路に向けて、タキシング(地上走行)中の航空機。※本文とは関係ありません。

タキシング中に機器にトラブルが見つかり、引き返したとのことです。結局整備さんを呼んで対応してもらい、数時間DLYで出発していきました。私がメインで担当していたLCCは、日本の空港に自社整備スタッフを配置していませんでした。同型機を保有している他社の整備さんを呼び、来てもらうにも最低1時間を要したため、機体トラブルは本当にヒヤヒヤしました。

自社の整備スタッフを配置していれば、この1時間は限りなく0に近づくのに、他社委託のため、呼ぶのに時間がかかるのは痛いです。他のエアラインでは、フライトごとに整備さんが機側で待機しているところもあり、本当に頼もしいなと羨ましく思っていました。

ATB(Air Turn Back)

ATBは、地上走行が終わり、滑走路から離陸した後に、出発空港に戻って来ることを指します。ATBについても、前述のGTBと同じく機内で急病のPAXが発生したり、機内トラブル、機体トラブルが理由です。

機内トラブルは、CREWの指示を聞かないPAXがいたり、他のPAXに迷惑行為をするPAXがいたりということもありますね。

私が経験したのは、プライベート・チャーター機のハンドリングをしていた頃です。担当していたプライベート機が離陸したのを確認したものの、しばらくするとCAB(航空局)から電話が入りました。なんと、当該機がATBしてきたというのです。エンジントラブルだということです。

無事に離陸しても、戻って来ないという保証はありません。 ※本文とは関係ありません。

その後は、エンジンを直すためにパーツを海外から取り寄せ、整備さんも呼んだりといったメンテンナンス作業の手配に忙殺されました。PAXは、定期旅客便で目的地へと向かうことにまりました。駐機スポットも、駐機期間の制限がありますので、いつ出発できるのかという見込みについて、毎日のようにCABから確認を受けたのを覚えています。


まとめ

航空機のハンドリングに関わるということは、本当にトラブル対処の連続です。

なおGTBやATBは、大幅なDLY(遅れ)につながることが珍しくありません。そうした場合に、予定が狂ってしまうため、旅行を取りやめたいというPAXもいます。その場合、国際線であれば、出国取消(出国VOID)と呼ばれる手続きが必要になります。

今回は出国取消(出国VOID)についてです。 出国VOIDとは PAXやCREWは入国審査を経て一度出国すると、基本的には戻ることができ...

あらゆる事態が起こるので、自分が当たった際は辛いです。空港を離れた今も、記憶が鮮やかなぐらいです。航空機ハンドリングに携わる皆様、今日もどうかご安全に。