旅客グランドスタッフとグランドハンドリングスタッフ(以下グラハンスタッフとします)、どちらの仕事をしようか迷われている方もいらっしゃると思います。そこで、今回は両職種の比較をしてみましょう。
それぞれ、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
※アイキャッチ画像は、写真素材「写真AC」様よりお借りしました。
まずは、旅客グランドスタッフについてです。
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グランドスタッフのメリットは?
グランドスタッフとして働く、メリットやデメリットについて、当ブログの過去記事でもお伝えしていますが、今回はグラハンスタッフとの比較という観点でお伝えします。
グラハンスタッフと比較し、勤務のほとんどを旅客ターミナル内で過ごせるということが第一に挙げられます。チェックインカウンター→ゲートもしくはBC(到着エリア)での勤務が大多数ですので、冬は暖かく、夏は涼しく過ごすことができます。とはいっても、羽田空港第3ターミナルは天井が高く、チェックインカウンターやゲートで動いていると、暑く感じることは多々あります。
そして、大変でもあり楽しいのがPAXと直接接することが多いという点ですね。国際線業務では、外国語を使う機会が多く多々あります。従って、外国語を活かせるという点ではグランドスタッフに圧倒的に軍配が上がります。
グランドスタッフのデメリットは?
デメリットは何といっても、前述のメリットの裏返しとなる、PAXとの接点が多いという点です。チェックインカウンター、ゲート、BC。これらの全てで、クレームが発生する可能性があります。
チェックインカウンターでは、席を連れの方と隣同士でないと嫌だというPAX、チェックインバゲージの追加料金を払いたくないばかりに、ごねるPAXもいます。日本人PAXは、当たりがきつい方も多いです。総じて、外国人PAXよりも求める水準が高い傾向があります。
DLYした場合は、ゲートでの対応も怖いです。機体の整備で遅れようものなら、ゲートでスタンバイしているPAXからのクレームや視線が大変です。
BCは何もなければ楽なのですが業務の性質上、敗戦処理のようなものです。バゲージが届かない、大幅DLYだからタクシーを出せといたクレームに直面するといった具合です。グランドスタッフの業務でも最も後ろ向き、しかし重要なポジションです。
こういった状況も前向きに捉え、次のケースに活かし引きずらない傾向がある方が向いている職種と言えます。しかし物事は慣れですので、慣れと考え方を変えるという方法でいくらでも対応可能です。
グラハンスタッフのメリットは?
やはり航空機の身近で働くことができ、プッシュバック、PBB操作を担当したりと、技術職という側面も強いことですね。航空機の近くで、航空機地上支援業務のキャリアを積み重ねていくことは、やりがいを感じられそうです。
そしてグランドスタッフとは異なり、直接PAXの対応することがないので、クレームの矢面に立たされることはありません。間接的にPAXにサービスを提供しているのは間違いないですが、接客業務はないことがメリットではあります。
グラハンスタッフのデメリットは?
グラハンスタッフはグランドスタッフと違い、ソーティング場(チェックインカウンターから流れてきたバゲージを仕分ける場所)やランプで勤務することがほとんどですので、夏は暑く、冬は寒いということが最大のデメリットと言えます。
そして、バゲージをコンテナに搬入したり、または搬出したりというハードな作業も多いです。航空機すぐ近くで働けるということは、作業中は常に注意を払わなければならないということでもあります。車両を運転する機会も多いので、航空機の安全を妨げない、安全運転にも注意が必要で、神経を使います。
グランドスタッフの勤務場所はPAXも入る場所ですので、冷暖房完備なわけです。それに対し、グラハンスタッフの勤務場所はPAXが立ち入れない場所がほとんどであり、冷暖房設備は存在しません。
日本の豊かな四季を感じながら、雨にも風にも負けずに業務を遂行できる自信のある方にはお勧めです。一般的にはグラハンスタッフは肉体労働と言われますが、前述したように作業には細心の注意が必要なことも多いです。慎重に作業ができ、安全確認や危険予知を適切に行い、次の発生しうる状況を考えられる必要がありますので、簡単な業務ではないと思います。
まとめ
グランドスタッフやグラハンスタッフ。この2つの職種には、それぞれメリットやデメリットが存在します。一人一人適性や興味は異なりますので、各自の性格に合った職種を選択されるのがベストだと、私は考えます。
どちらの職種を選択しても、航空機をハンドリングするチームの一員であることは変わりありませんし、PAXや航空機の安全に関する大きな責任が伴います。
現在、コロナウイルス感染蔓延により、航空業界は非常に厳しい状況に置かれています。しかしこのような状況の中でも、ご自身の特技や持ち味を活かせる職種を選び、航空機の運航を支える一員として活躍されるという道を選ばれる方々を、私は心から応援しています。