プライベート機出発業務 前編

今回は、プライベート機の出発業務手順について、見てみましょう。

スロット、スポット確認

スロット、スポットについては、基本的に到着、出発はセットで取得します。

ほとんどが海外の空港から出発して日本の空港に到着、その後出発という流れになります。数少ないですが、日本の空港に機体を置いている(ハンガーを契約して、機体を置いている。)オーナーもいますので、この場合は、出発、到着というスロット、スポットの手配を行います。

日本の空港には駐機日数制限があり、それは空港によって異なります。羽田の場合、4泊5日が駐機日数の限度となります。

駐機制限に合わせて予め取得していた出発スロットを、出発ハンドリングに合わせて再度確認します。

オーナーから、早く出発したいまたは出発を遅くしたいというリクエストも、しばしば入ります。

スロット、スポットを変更する場合

スロットを変更したいという場合、ますばCAB航空管制運航情報官に、そのスロットが空いているのか、照会します。

スロットが空いている場合でも、スポットが空いていない場合、空いていても、他のスポットにトーイングで移動が必要な場合もあります。

スロット、スポットが実際に取得できるまで、オーナーが運航を委託している、運航管理会社には、okサインを出すことはできません。

ちなみに、羽田空港の場合、スロットには±30の誤差が認められます。例えば、13:00の出発もしくは到着スロットを取得していた場合、12:30もしくは、13:30の出発、到着が可能です。

スロット、スポットを変更したら

空港使用計画書を提出してスロット、スポットの変更を完了したとします。

その後は、CIQに運航時間の変更を通報します。もちろん、グラハンの各種サービスを依頼しているサードパーティにも、変更を通報します。

変更になりそうな流れになると、スロットとスポットが確定していなくても、サードパーティ各社には、その旨を事前に相談するのがベターです。

特にグラハン会社は、定期便のハンドリングの合間にプライベート・チャーター機のハンドリングをしているため、変更先の時間が定期便のハンドリングと重なっていて、対応出来ないということも、しばしばあるからです。

CREW SHOW UP

出発作業は、CREWが空港にSHOW UPするところから開始します。

CPTが事前に、何時間に空港に到着するか伝えてきますので、それに合わせて待機します。概ね、出発時間の3時間から2時間が目安です。

空港のタクシー降り場でハンドラーとグラハン会社のスタッフが待機し、グラハンスタッフが、CREW バゲージを預かります。

ハンドラーは、CREWをセキュリティ、イミグレーションに案内します。

プライベート機のCREWも、CREW専用レーンを使用できます。

その後、免税店で買い物をしたりし、ハンドラーの車両でスポットに向かいます。

CI各所にGD,PMを配布

出発の場合、CREW SHOW UPと前後して、 CI(税関と入管)にGD,PMを配布することが多いです。GDには最後、税関取締本部というオフィスで、出港印というスタンプをもらったものを、機体に搭載します。

出発時は、Q(検疫)への連絡は必要ありません。

スポットでの作業

CREWがスポットに到着したら、運航会社からCPTに渡すよう依頼された書類(TAF, METARといった気象情報や、ロードシート等)があれば渡した後、以下のような作業を実施します。

  • WAT(飲料水)
  • FUEL(到着時が多い)
  • ケータリング

といった作業を行います。これらの作業を依頼したサードパーティ各社に作業指示をし、適切に作業が行われているか、スーパーバイズを行います。

一連の予定が作業完了後、ターミナルで待機する他のスタッフに、シップ作業完了の旨を報告します。

その後はPAX到着まで、待機となります。

この後、出発後編に続きます。