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入国しないCREWの運用(スルー運用)
前回の記事で、国際線のCREWは乗務時、入国しない運用(機内に留まる)があるとお伝えしました。
CREWのホテル代といった滞在費がかからず、エアラインにとっては、コスト削減のメリットがあります。
今回は、プライベート・チャーター機(以下BJとします)編です。
BJCREWのスルー運用
BJでも、CREWのスルー運用はしばしば見られます。私が見たことがあるのは、ICN(仁川)-HND-ICN、PEK(北京)-FUK(福岡)-PEK、VVO(ウラジオストク)-HND-VVOなどです。
上記の区間では、運航時間が短いという理由もありますが、CREWは入国させず、そのまま機体と共に本国に返したほうがメリットがある場合があります。
例えばPEKの機体オーナーが、東京での2週間の商用を予定しているとします。目的地空港は羽田としたいのですが、あいにく4泊5日という、羽田の駐機制限があります。
こうした場合、羽田でオーナーが降機した後、一度PEKに機体をフェリーします。そしてその後、東京の出発日には再び機体をHNDまでフェリーし、オーナーを搭乗させて、PEKに帰るというプランのほうがコスト削減になります。
2週間分のCREWのホテル代、駐機制限回避のため、成田に駐機するというオプションを選択しても、機体駐機料もかかります。こうしたコストが削減できるのが、CREWのスルー運用です。
スルー運用時のCREWの楽しみ
スルー運用時は入国しないので、日本の空港に着陸したものの、日本の街中には行けないという不思議な状況となります。入国していないので、日本の土を踏むこともできません。
通常、スルー運用時は1時間ないし2時間程のグラウンドタイム(地上作業用の時間)を取ります。この時間で、PAXの乗降、LAV(トイレの汚水処理)、WAT(飲料水補充)、給油、ケータリング搭載といった作業を行います。
PEK 10:00出発
HND 12:00到着
HND 13:00出発
PEK 15:00到着
といった具合です。このグラウンドタイムで、CREWは日本食のケータリング(お寿司等)を食べたりします。私も空港のターミナルのお寿司屋さんで、お寿司を注文してピックアップし、シップサイドに届けたりしていました。
ケータリングは、CREWにとっても楽しみな要素ですね。スルー運用時は特に、その国を楽しめる唯一の要素となりますので、数少ない楽しみになりますね。
まとめ
CREWにとっては過酷になりがちな、スルー運用。しかし、国際線フライトにも関わらず、当日中に帰国できるといったメリットもあります。
外国の空港に着陸するものの、入国せずに帰国する。という特殊な状況を、CREWとして経験してみたいと思ってしまいました。
※PAXとしてこうした状況(入国できない)が発生(INAD)することがありますが、絶対に経験したくないものですね。
※本文画像ならびにアイキャッチ画像は、無料画像のAC(https://www.photo-ac.com/)からお借りしました。