今回は、コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界中で旅客便が激減しているにも関わらず、未だに運航している国際線フライトはどのような路線かという話題です。
航空業界の生き残りをかけた取り組みと、未だに運航中の国際線路線について
以前当ブログの記事で、旅客機を用いた貨物輸送や、増加する貨物輸送についてご紹介しました。
下記のSam Chuiさんによる動画では、旅客機のPAX用シートに医療物資等の貨物を搭載している様子が紹介されています。貨物輸送で収益を少しでも確保し、航空各社が生き残りをかけた取り組みをしている様子が伝わってきます。また、この状況下でも未だに運航されている国際線フライトとして、カタール航空が紹介されています。
Sam Chui, Aviation’s Fight For Survival
カタール航空は、3月下旬の7日間にヨーロッパ方面(イギリス、ドイツ、フランス)に向かうフライトで、100,000人を輸送したとのことです。これは、祖国へ帰国しようとする旅客流動のようです。同航空は現在も、世界中の多くの主要空港への運航を継続しています。
カタール航空が現在も運航中の路線
https://www.qatarairways.com/en/travel-alerts/COVID-19-update.html
カタール航空 COVID-19 (Coronavirus) Updateより
カタール航空の上記サイトで確認できるのは、ヨーロッパ方面ではLHR(ロンドン)、FRA(フランクフルト)、CDG(パリ)といった主要空港、アジアではHKG(香港)、SIN(シンガポール)、MNL(マニラ)といった空港です。
カタール航空がハブ空港として利用している、DOH(ドーハ)は既に外国人の入国は禁止されています。しかし、トランジットのみの利用は可能ですので、日本からDOH経由でヨーロッパ方面に向かうことも可能です。
コロナウイルス感染者が非常に増えている、イランのIKA(テヘラン)への運航も継続しているのは驚きです(※2020年4月6日現在)。
日本の空港では、HND便は運休となりましたが、NRTへの運航は継続しています。
しかしこの記事を執筆している2020年4月6日現在、居住している国から、祖国への移動の流動という需要は、そろそろ途絶えてしまうのではないかと、私は思っています。
海外に居住し、帰国せずに現在も留まっている方々は、その国に配偶者のいる方など、残留を決めている方がほとんどではないでしょうか。
旅客便としての需要はまもなく消滅するものの、貨物室に貨物を満載する。そして、PAXも非常に少ない状況だと思いますので、当日のPAX数に応じて、PAX用シートを貨物用に柔軟に利用するということも考えられるのではないでしょうか。客室にPAXと貨物が相乗りするという状況が生まれるかもしれませんね。
プライベート機も医療物資輸送に協力
上記動画では、プライベート・チャーター機の運航会社である、VISTA JETが、医療物資を運ぶフライトを運航しているとのことです。普段はVIP輸送に携わっている同社ですが、コロナウイルスが蔓延する状況において、公共の利益のためのフライトを行うことで、貢献を行うとのことです。
羽田空港国際線で運航中の便
羽田空港に発着する国際線でも、大半の便が運休となっていますが、LHR(ロンドン)、CGK(ジャカルタ)行きの便はまだ運航されています。
LHR行きは、ANA、JAL、ブリティッシュエアウェイズの3社が減便はあるものの、未だに運航中です。これも、日本からトランジットヨーロッパ方面への帰国や緊急移動への需要に応えたものなのでしょうか。
ジャカルタ行きに関しても、ガルーダインドネシア航空が運航中です。インドネシアも外国人の入国は基本的に禁止されていますので、インドネシア国籍の方か、現地ビザを持っている方のみが搭乗可能ということになりますね。
まとめ
今回は、未だに多くの便が運航中のカタール航空、羽田に発着中の国際線フライトの情報についてお伝えしました。状況は刻々と変化しており、カタール航空で残存しているNRT発着便の運航もどうなるか未知数だと思います。カタール航空は、現時点で国際間輸送の最後の砦となりつつあるのでしょう。
未だに収束が見えない、コロナウイルスのパンデミックですが、中国では新規感染者数が減少しているとの情報もあります。
この状況の一刻も早い収束と、国際間の旅客輸送が元の状況に戻ることを、心から願っています。