世界中のエアラインにおいて、お荷物となってしまっているA380機。当ブログでも先日、A380を巡る状況についての記事をお送りしました。
上記記事の続編として、AFのA380運航終了についてのニュースを中心にお送りします。
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AFでのA380機は運航終了
エールフランス航空(以下、AFとします。)では、新型コロナウイルスを巡る状況の変化により、当初2022年に予定していた、A380機の退役を早め、運航を終了するとのことです。
同機退役後は、A350やB787といった機種が中心となり、A380の代わりを担うようです。
A380に対するAF社の見方
AF社はA350やB787について、近代的で高性能かつ環境負荷が低いと表現しています。裏を返せば、A380は前近代的で環境負荷も高いとの事実を、運航当事者であるAF社が痛感し、認めざるを得なくなったということに他ならないと考えられます。
冒頭ご紹介した、当ブログ過去記事でも、運航コストの高さや燃費といった面で、極めて経済性に欠ける航空機だと言う点について、お伝えしました。
成田空港で言えば、着陸料、駐機料といった空港に支払うお金について、A350、B787の倍以上のコストがかかってしまします。
A380を手放すエアラインは増えていますが、経営にとっては、A380がすごく重荷だということがダイレクトに読み取れるプレスリリースだと思います。
A380は運航に必要な人員も多い
ANAの場合、A380使用のフライトでは、ファーストクラスを備えていることもあり、CAは25人必要とのこと。運航乗務員もハワイであれば、2名です。
約27名の乗務員が必要ということで、かなりの大所帯ですね。
ちなみに、日本においては航空法第104条にて、連続24時間以内の最大乗務時間は、
2名乗務:国内線8時間 国際線:12時間
3 名以上の乗務:12時間以上
と定められています。
https://www.mlit.go.jp/common/001283350.pdf
航空旅客輸送の需要が現段階では、激減しています。各エアラインとも、運航本数自体が非常に少なくなり、運航する機体のサイズもスケールダウンしています。リストラによる人員削減で組織のスリム化を実施するエアラインも多いです。
このような状況でA380機の運航に求められるような、大所帯の乗務員を抱え続けるということも、難しいエアラインが多いのでしょう。
まとめ
燃費も悪く、大きさゆえMTOWもヘビーで、燃料代や着陸料、駐機料といったあらゆるコストが高いA380。運航に伴う乗務員も多く必要で、スリム化を目指すエアラインにとっては、これ以上の重荷はないと考えられます。
かつて栄華を誇った、B747も旅客機としては時代遅れとなりました。それは、かつてほどの大量輸送が求められなくなったという背景があります(貨物機としては未だに主役ですが。)
私個人の考えですが、B747が時代の流れに逆らえず、旅客機としては、世界中で退役に向かう現状がありながら、A380が開発された流れを疑問に感じてしまいます。不運な機種となったA380ですが、やはり世界は大型旅客機を求めていないという結末となりました。
仮にコロナを巡る状況がなくても、AFの場合は2022年に退役が決まっていたという事実が、何とも物悲しいですね。