今回は出国取消(出国VOID)についてです。
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出国VOIDとは
PAXやCREWは入国審査を経て一度出国すると、基本的には戻ることができません。
皆さんも旅行をされる際、イミグレーションを通過した後に、やっぱり戻るということはしないと思います。しかし、例外的にではありますが、戻るという選択肢を取ることは可能です。
入国審査が終わって、あとは飛行機に乗り込むだけという状態だけれども、やっぱりやめて帰りますというのが、出国VOID手続きです。
出国VOIDはどのような場合に行うか
急病
以前、DLYについての記事でも少し触れましたが、このときは乗務予定のCREWが急病で乗務不可となってしまい、病院に行くために出国VOIDをしました。
搭乗予定のフライトに乗り遅れた
最も多く遭遇したケースです。
フライトの出発時間が迫ると、「××航空よりご案内いたします。××航空×××便は只今ご搭乗の最終案内を行っております。当便にてご出発のお客さまは、お急ぎ××番ゲートまでお越しください。」というファイナルコールを聞いたことがあるかと思います。
私がメインで担当していたキャリアは、深夜から早朝にかけて運航していましたので、特に早朝便では、フライトを待つ間に寝てしまうPAXもいました。
私が経験したケースの一つは、担当の早朝便が出発後、呼び出しても来なかったPAXがSHOW UPし、寝過ごしたとの申告を受けました。
フライトDLYにより、旅行を取り止める
天候不良やメンテナンスで、大幅なフライトDLYが発生した場合、その後の予定が大幅に狂ってしまうこともあります。そういった場合、旅行を取り止めるPAXもいます。
一旦は出発した航空機が戻ってきてしまう、GTB、ATBが発生し、再出発できる見込みがない、または大幅なDLYが予期される場合も、旅行を取りやめたいとの申し出を受けた経験があります。
出国VOIDの方法とは
まずは、出発動線にあるイミグレーション(入管)、到着動線にある税関、検疫にも連絡します。その後、実際に出国動線の入管事務所に向かいます。そこでパスポート、搭乗券の確認を受けた後、パスポートに出国取消のスタンプを押してもらいます。
CIQに連絡が終了したら、グランドスタッフ付き添いのもと、国際線乗り継ぎ動線を通って(国際線から国際線に乗り継ぐことができる動線があります。)、到着動線に向かいます。
その後は、到着出口から通常通り出て終了です。
まとめ
出国VOIDは、普通にフライトに搭乗するのであれば行わない手順です。行わざるを得ない状況は、CREW、PAXにとっても、そしてグランドスタッフにとっても、良くない事態であることは間違いないです。
フライトを乗り過ごしたPAXが肩を落としながら、到着出口を出ていく姿は、未だに私の記憶の中で鮮明です。
※本文画像は、無料画像Pixabay(https://pixabay.com/ja/)からお借りしました。