AOG(Aircraft on ground) プライベート・チャーター機編

前回に引き続き、AOG(メンテ)についての話題です。

AOG(Aircraft on ground)とは? 航空機が地上にいる状態、つまり航空機が故障していて飛べない状態を意味する単語です。故...

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AOGがプライベート・チャーター機で発生したら?

定期便はプライベート・チャーター機と比較してPAXの数が圧倒的に多く、AOGが発生した際の影響も大きいです。

プライベート・チャーター機で発生した場合、大変なのはPAXの予定変更よりも、メンテに関わる手配やスポット・スロットの調整となります。

出発便(プライベート・チャーター機)でAOGが発生

仮に、出発を予定していた便が急遽GTBやATBしてきてしまった場合を想定してみましょう。

今回は、グランドスタッフが最も嫌うもの、GTB(Ground Turn Back)、ATB(Air Turn Back)についてのお話です。...

GTB(Ground Turn Back)やATB(Air Turn Back)については、上記の過去記事をご覧ください。

本日8/31の07:00JST(日本時間)にHKGに出発を予定していたHNDから出発を予定していたプライベート機(仮に便名機体登録記号のB-CDE)があるとしましょう。

あなたはその便のハンドリング担当で、無事PAXの搭乗からドアクローズまで見届けました。予定より少し早い06:55JSTにブロックアウト(スポットアウト)し、タキシングを見届けます。そして、無事にテイクオフしました。

ほっとしてオフィスに戻ったところ、CAB(航空局)の航空管制運航情報官(運情)から連絡が入ります。なんと先程無事に出発したB-CDEが、機体トラブルでATBしてきたとのこと。

AOGをどうハンドリングするか?

まずは、機体が入ったスポットに向かい、機体の情報をCREWに確認します。エンジントラブルとのことですが、CPTが本国(香港)の運航会社に確認したところ、どうやら修理部品が必要とのこと。

すぐに運航会社経由で部品ならびにメンテさんの手配を行いますが、最低でも数日は要する見込みです。

搭乗していたPAXは、すぐさま定期便の航空券を購入し、HKGに向かうこととなりました。CREWはしばらくHND周辺に待機することに。

PAXは数時間遅れとなったももの、無事目的に向かうことができ、ひとまず落ち着きました。しかし、問題なのはメンテが終了するまでの間に駐機するスポットや、いつ出発できるかという点です。出発時刻に合わせ、スロット(出発枠)を確保する必要もあります。

HNDでは、プライベート・チャーター機が駐機可能なのは本来4泊5日です。メンテであればやむを得ない事由ではありますが、このルールを破ることになってしまいます。

HNDを利用したいという、プライベート・チャーター機は沢山存在します。メンテが長引くと他機との兼ね合いで、同じスポットにずっと駐機することも難しくなります。スポットからスポットへのトーイング手配等も発生します。

スロット(出発枠)についても、まずは見込みで設定する必要があります。まずは、駐機制限ギリギリの、9/4 23:55JSTと決めます。

やきもきしているうちに、運航会社から連絡があり、9/3にメンテスタッフがHKGから派遣されるとのこと。それに先立ち、9/2にHKGから修理部品も送られてくる予定となりました。

9/4の夕方に無事メンテを終え、エンジンランナップエリア(エンジンの試運転を行える場所)でエンジンの試運転も終了します。

予定よりも早い9/4 19:00、HKGに向けて機体は出発しました。今度はテイクオフ後も無事に飛行し、HKGに到着できたとのこと。これで、AOGハンドリングは無事終了です。

まとめ

旅客グランドスタッフとは異なり、PAXのケアよりも(プライベート・チャーター機のPAXは少人数であることがほとんどですので)残された機体のケアが大変です。

メンテに関わるスタッフと空港でミートしてランプ内に送迎したり、修理部品を受け取ったりしてメンテを迅速に終えるべく、調整します。また、スポット(駐機場所)とスロット(出発枠)を調整し、空港から少しでも早く出発できるようにアレンジするのも、ハンドラーの仕事です。

PAXからのクレームがないだけ、旅客グランドスタッフと比べれば少し気が楽ですが、調整事項が多岐に渡り、大変な作業となります。