DPR(ダメージ対応)の思い出

LL業務の一つに、DPR(破損したバゲージの対応)があります。LL業務についての詳細は、以下の過去記事をご覧ください。

ダメージ対応に特化した記事は↓

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LL全般についての記事は↓

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今回はDPR対応時に遭遇した、優しいPAXについてのエピソードです。

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少しのDLYはあったものの…

その日の夜、私はいつものように東アジアの某国LCCを担当していました。丁度この日は、担当便が出発空港を、ATCの影響で遅れて出発していました。

私の勤務空港には20分程遅れて到着しましたが、大きな混乱はなし。バゲージの未着情報も入っていませんでした。今日は比較的平穏なハンドリングとなるかな、と思っていました。

しかしそのとき、ちょっとしたハプニングが起きます。

私の担当便が使用していたカルーセル(ターンテーブル)を、別のエアラインが使用したいとのこと。しかしカルーセル上には、ざっと見て100個ぐらいのバゲージがまだ回転している状態でした。LL担当は私一人だったので、このバゲージをカルーセルから一人で降ろして、別のエアラインがバゲージを返却するタイミングに間に合うだろうか?と不安になります。

カルーセルからバゲージを降ろしまくる

別のエアラインのLLさんも、「私も手伝いますので!」と言ってくれ、どんどん降ろします。しかし、100個を一気に降ろす作業はなかなかハードです。返却時間も迫っているので、本当に時間がなかったです。もはや、ソーティング場勤務のグラハンさんみたいな有様でした。

バゲージを降ろした後は、カルーセルの近くにバゲージを並べ、私の担当便のエアラインロゴと便名が入ったサイネージを持ち、便名をひたすら連呼します。

しかし、並べた(というよりも単に置いたという状況)バゲージの中に、全く同じ見た目のものが2つ。しかもタイミングよく、そのうちの一つの持ち主のPAXが現れます。

バゲージタグを確認したところそのPAXのものは、見た目が全く同じだが、別のもう一つのものでした。危ないところで、クロスピックアップを回避しました。

ダメージ申告を受ける

カルーセル上から降ろす作業と、○○便のバゲージはここですと呼びかける作業を平行して行っていたそのとき、一人の外国製PAXからダメージ申告が。

そして、現物を見て驚きました。スーツケースに付いている、4つの車輪のうち1つが、根元から取れていますw 実物を見た私は、思わず苦笑してしまいました。当該のPAXもこの事態には笑っていました。

手順通り、バゲージクレームタグをPAXから預かり、書類の記入を進めようとしましたが、まだカルーセルはターンテーブルに残っている状況。もう少し待って頂けないか、PAXに伝えます。しかし、そのPAXは急いでいるので大丈夫です、このぐらいは問題ありません。と言います。

このLCCでのダメージ対応は、基本的に保険会社提出用のレポートを作成するだけでした。といっても、車輪がもげてしまっては使用に耐えないので、代替品のスーツケースをお渡しすることになっていました。

バゲージの写真を撮って、連絡先をお聞きしました。後の対応をREPさんに引継ぐことにします。そして、バゲージの取り卸し作業を必死で行い、汗だくになりかけていた私に、そのPAXがティッシュをくれました。

後ほど担当から連絡しますと伝え、PAXは帰られました。しかも帰り際に、頑張ってね!と労いの言葉をかけてくれました。大変なハンドリングでしたが、優しいPAXで本当に救われたと感じた瞬間です。

まとめ

旅客業務(グランドスタッフ)は、PAXに苦しむこともありますが、救われることも沢山あります。しかし、スーツケースの車輪がもげているのに、大丈夫、大丈夫!と言ってくれるPAXは寛容すぎですねw

今思い出しても、ここまで寛容な方は他にいませんでした。エアラインの仕事で、最前線に立ちPAXの対応をしているグランドスタッフは、クレームを受ける機会も多く、それに伴い心がすり減ることも多いです。

このブログを読んで下さる皆様も、返却されたチェックインバゲージにダメージがあっても、どうかグランドスタッフには優しい(少なくとも冷静な)対応をお願いしたいところです。

※アイキャッチ画像は、無料写真素材のACさんからお借りしました。

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