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コロナ渦での旅客機の貨物転用
コロナ渦で旅客輸送が激減している現在、旅客機を貨物機に転用しているエアラインが増えています。中には、A380を貨物機にしてしまったエアラインもあり、旅客需要の少なさを感じさせられる出来事となっています。
TR(スクート航空)も、A0320の座席を撤去し、貨物専用便の運航を始めたようです。座席撤去前と比較し、倍近い20トンの貨物を搭載可能とのことです。
改造には4日間を要したとのことですが、搭載できる貨物量が倍近くとなれば、旅客需要が少ない現在、エアラインには貴重な収入源となるのは間違いなさそうです。更に、CAも2名乗務するとのことで、CAの雇用維持にも繋がりそうです。
旅客機の患者搬送便への転用
さて、コロナ渦とは直接関係はありませんが、旅客機をMEDIVAC(患者搬送便)へ転用するというオプションが開発された事例があります。
https://industry.defence-industries.com/suppliers/marshall-aerospace-and-defence-group/whitepaper/1542372398-Medevac.pdf
SK(スカンジナビア航空)のB737を利用し、Marshall Aerospace ・Defence Group ・ Nodin Aviationが以前、旅客機を患者搬送便に4時間余りで転用できるオプションを開発しています。22人の患者を搬送することが可能とのことです。
こうしたオプションは、コロナ渦で患者を外国から本国に輸送したり、という手段にも使えそうです。患者搬送便については、当ブログの過去記事でもご紹介しています。
上記患者搬送便転用に関する記事を見ていて思ったのですが、医療用の機器やベッドがない状態だと、貨物機転用したスクート機体のキャビンの様子と似ており、そのまま貨物を搭載することもできそうです(消火器を増設したりといった改造も必要となりますが)。転用改造次第で1つの機体を、理論上は旅客機・貨物機・患者搬送便の3つの用途に使用することができ、旅客需要の増減にも対応できるのではと考えました。
まとめ
旅客機を貨物機・患者搬送便に転用できるオプションが開発されており、エアラインには機体の有効活用できる貴重なオプションと言えそうです。
患者搬送便は、患者が発生しないと運航しませんので、普段は貨物便ベースで運航し、場合によって機体を改造し、患者搬送便の運航も受託するといった経営も考えられるのではないでしょうか。貨物航空会社でもKJ(エア・インチョン)といった、B737の貨物型であるB737-400SFを運航している会社もあります。
患者搬送便はあまり大きい機体だと、上空で患者が急変した際、ダイバートできる空港が制限されてしまいます。B737であれば、その点はクリアできるのではないでしょうか。
エアラインの経営の多角化にも貢献できそうな、旅客機の転用についての話題でした。
※アイキャッチ画像は、無料画像Pixabay(https://pixabay.com/ja/)からお借りしました。